<中日5-4巨人>◇5日◇ナゴヤドーム

 中日が首位巨人との3連戦(ナゴヤドーム)に2勝1敗と勝ち越し、5・5ゲーム差とした。谷繁元信捕手(38)が4回、プロ入りから21年連続本塁打の今季1号2ランを放った。結果的にこの1発が試合を決める値千金弾になった。先発の川井雄太投手(29)は10安打を浴びながら6回4失点と踏ん張って、ハーラートップタイの8勝目。開幕から8連勝は97年の山本昌らと並んで球団記録。すべて日曜日白星で「サンデー男」の力を見せつけた。

 どうしても必要な得点だった。2点リードした4回1死一塁。谷繁が内海の内角よりの速球を完ぺきにとらえ、左翼席中段に飛び込む1号2ラン。「相手が巨人だから点は何点あってもいいと思っていた」。相手打線の破壊力を最も近くで感じている谷繁は、追加点の重要性をよく知っていた。直後の5回に1点差とされ、この1発がより大きな意味を持つことになった。

 「全然打てなくて感触を忘れていた。打った瞬間、ガッツポーズしちゃったので次からは控えます」。昨年10月3日の横浜戦以来、実に143打席ぶりの本塁打だった。冷静沈着な38歳のベテランでさえ、思わず興奮した。これでプロ入りから21年連続本塁打。落合監督の20年連続を超え、衣笠(広島)清原(オリックス)高木(中日)と偉大な球界の先輩と並んだ。

 「こういうものはすべて終わった時に考えるものだと思っている。今は巨人より1試合でも多く勝つことだけを考えたい」。谷繁は記録を振り返ることはしなかったが、捕手としては25年連続の野村(現楽天監督)に次ぐ記録。守備に神経を注ぐポジションでありながら、打撃技術、肉体改造を続けてきたからこそ達成できた。

 今年1月29日、谷繁は沖縄キャンプへ向かう空の上で1つの発見をした。飛行機内の通販カタログを読んでいた際、持病を抱える腰に負担をかけず腹筋ができる器具を見つけた。ミズノ社の「じつは!腹筋くん」だ。沖縄に到着するとすぐに電話で購入を申し込んだ。それ以来、ホテルの自室でテレビを見ながら腰を気にすることなく腹筋を鍛えた。昨年から体重は2キロ増え、体脂肪率は3ポイント減った。今年で39歳を迎える谷繁は、なお「筋肉のよろい」をまとった。

 今季4カード目にして本拠地巨人戦初めての勝ち越しで、5・5ゲーム差。7日からは神宮で1ゲーム差となった2位ヤクルトと対決する。「今回も最悪2勝はしたいと思っていたからよかった。ジワジワと追いつめていきたい」。谷繁の言葉通り、着実に巨人の背中が近づいてきた。【鈴木忠平】

 [2009年7月6日8時29分

 紙面から]ソーシャルブックマーク