<横浜0-12中日>◇17日◇横浜

 中日チェン・ウェイン投手(23)が横浜打線を無四球3安打で完封し、防御率1・45として同僚吉見を抜きセ・リーグトップに立った。3回以降は二塁を踏ませぬ投球で、今季3勝目をマーク。メジャー4球団のスカウトが熱視線を送る中での快投で、チームは今季6度目の3連勝で、この日敗れた首位巨人に4・5差と接近した。

 内角を突く152キロのクロスファイアから、チェンの完封劇は始まった。そこから149キロ、152キロで先頭吉村を3球三振。初回を3人で片付け、波に乗る。2回に味方の失策と金城の左前打で1死一、二塁としたが、ピンチらしいピンチはそれだけ。150キロ前後の直球で押し、スライダー、カーブ、チェンジアップでかわした。横浜打線を3安打に封じ「野手に感謝しています」と喜んだ。

 防御率1・45。4回途中で規定投球回に達し、同僚吉見を抜いてセ・リーグトップに立った。1つ年上の吉見は絶好のライバルだ。球威では負けないが、制球では及ばない。抜きつ抜かれつのチーム内競争を演じながら、ともに勝ち星を重ねてきた。グラウンドを離れれば仲のいい兄弟分。遠征ごとに食事に連れて行ってくれるという。「お兄さんみたいな感じ。吉見さんの投球を見てボクもと思っていた」と表情を崩した。

 最下位に打たれるわけにはいかない。今季3勝のすべてが横浜戦だ。登板4試合目で許したのはわずか1点。防御率0・27と圧倒している。この日も内川、村田、ジョンソンのクリーンアップを計1安打。最終回にもこの日の最速152キロをマーク。5連勝中の相手打線の勢いを、それ以上のパワーで封じ込めた

 秘めたる思いもあった。横浜スタジアムは昨年の球宴第2戦で同僚荒木がMVPに輝いた舞台。チェンはその場面をテレビで見ていた。台湾から来日して6年目。あこがれ続けているのが球宴だ。ようやく戦力となった昨年は先発とリリーフを兼任し、選ばれる数字は残せなかった。今年は左肩故障に泣いた。「やっぱり投げたいですね」。チームメートが輝いた舞台で、狙い通りの快投を演じた。

 中日監督として単独2位となる440勝目を手にした落合監督は、自らの記録に触れず、チェンの快投を頼もしげに振り返った。「大量リードの完封は難しい?

 そんなに難しいことか?

 あいつが今どういう状況にいるか考えてみろ。吉見と防御率を争ってるんだろ。簡単な理屈じゃん」。超高レベルのチーム内競争が今季6度目の3連勝を導き、首位巨人に4・5差。中日が乗ってきた。【村野森】

 [2009年7月18日8時53分

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