<中日7-4広島>◇21日◇ナゴヤドーム

 2位中日は4点を追う6回、森野の3ラン、ブランコのソロ本塁打のアベック弾で同点。さらに代打立浪和義打撃コーチ兼内野手(39)の勝ち越し二塁打で両リーグ通じて50勝一番乗り。首位巨人を2・5差で追走する。

 舞台は整っていた。中日は6回、森野、ブランコのアベック弾で4点差を追いつき、なお2死一、二塁のチャンス。代打で登場した立浪が、カウント1-1から右中間へ勝ち越し2点二塁打を放った。立浪は「ブランコの本塁打から『(出番が)あるな』と思った。久しぶりにスカッとした当たりで走者をかえせた。今はチームに勢いがありますから」とニヤリ笑った。

 今季2度目の7連勝を自身のプロ野球記録を更新する484本目の二塁打で決めた。これで両リーグ最速の50勝到達。85試合目での達成はリーグ優勝した04年(88試合目)を上回るペースだ。首位巨人との差は2・5差のままだが、前半戦残り1試合の時点で勢いは最高潮に達した。

 現役最後のシーズンと決めた22年目、また1つ偉大な記録に手をかけた。この試合の1本で通算2470本安打。長嶋茂雄氏(73=巨人終身名誉監督)の通算安打数にあと1本に迫った。立浪は「全然意識していないんですが、よく聞かれる。また並んだり、超えたりしたらコメントしますよ」と話した。

 「辞めるな~」。スタンドから声が飛んだ。それでも「今年は後ろを振り返らず、その日、その日を頑張ると決めている」。退路を断った男に迷いはなく、ユニホームを脱ぐ最後まで勝利に貢献する。【鈴木忠平】

 [2009年7月22日9時11分

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