これが実力だ。巨人のドラフト1位、長野久義外野手(25=ホンダ)が2日、宮崎キャンプでは初となる屋外でのフリー打撃を行い、打撃技術の高さを見せた。43スイング中3本の柵越えを含み安打性の当たりは16本。得意の右打ちに加え1発も打てる力が、ついにベールを脱いだ。

 社会人トップの技術はだてじゃない。内角球をきれいにさばくと、打球は楽々と左翼フェンスを越える125メートル弾。さらに左中間席へ1発、左翼席にもう1発打ち込んだ。並んで打った大田が柵越えゼロで終わる中、振り切ればアーチもかけられる実力を見せた。それでも「打球は見ていませんでした。僕の持ち味は右方向へ強い当たりを打つことですから」と“プロ初アーチ”には無関心。高い理想が、目先の結果を頭から消していた。

 予想外の「特別授業」も受けた。フリー打撃後、大田とともにエアテントの中で約1時間半、原監督から直々にティー打撃と素振りの指導を受けた。「基本的なことを教えていただいた。下半身を意識しろ、軸足の内側を締めるようにと言われました」。原監督は「テントの中?

 いい子、いい子してました。打撃投手?

 今日はそこまでいってません」と笑わせたが、濃密な長時間の指導こそが、長野への期待の大きさを示した。

 この日は陸上の末続に走法も学び、締めには居残りティー打撃。休む間もない7時間半だが、1つの練習を終えるたびに首脳陣の評価もまた1つ上がる。篠塚打撃コーチも「リストが強い。フリーを見る限り、打撃はできていると思った。社会人でやっているだけあるね」と高評価を口にした。午前中、青島神社への参拝で絵馬に書いた今年の目標は「全力」。まだ底を見せない長野の実力と全力に、注目がさらに集まっていく。【小松正明】

 [2010年2月3日9時22分

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