マー君が“全快”をアピールした。楽天田中将大投手(21)が沖縄・久米島キャンプ第2クール初日の5日、今年初のブルペン投球を行った。1月の自主トレで右足首を痛めブルペン入りを回避していたが、ようやく解禁。捕手を立たせたまま、右足首の状態を確かめるように50球を投げ込んだ。例年より出遅れていたが、いよいよマー君の10年シーズンが本格スタートした。

 マー君には4日遅れの球春到来だ。田中が今年になって初めて、ブルペンに入った。昨秋キャンプはノースローだったため、昨年10月のクライマックスシリーズ以来となるブルペン投球だった。

 グラブを胸の前で止め、ゆっくりと左足を上げる。軸足の右足一本で立ち、静止。静止制止は1秒を超えることもあった。体重を乗せた右足首の状態を確認しながら、一気に左足をステップして投げ込んだ。中腰に構える山田バッテリーコーチのミットから乾いた音が鳴り響いた。ボールのいい回転を証明する音に、マウンドの田中は時折、笑顔を見せた。

 練習後には安堵(あんど)感を漂わせ、「このオフに入って初めてのブルペンでした。立ち投げですけど。初めてということを意識した部分から、力みが出たかなと思います。それでも何球かは、いい球が行っていると(投手コーチの)佐藤さんと(バッテリーコーチの)山田さんも言ってくれました。滑り出しとしてはよかった」と話した。

 これまでの4年間で一番遅いブルペン入り。2月1日のキャンプインはもちろん、1月初旬の自主トレ期間からブルペンに入ってきた。どちらかと言えば“投げたがり屋”だ。だが昨秋から、35勝をマークした3年間で貯まった肩の疲労を癒やすこと第一に考え、スロー調整。スロー調整中の1月には右足首をねんざした。軽度のため、田中は投球は可能としてきたが、トレーナー陣は第1クールでの投球を禁じた。この日のアップ中には、ブラウン監督から「ゆっくりやれよ」と声をかけられた。強い信頼と同時に、1年間を通じて投げ抜く責任も感じるひと言だった。「慌ててもしょうがないので、落ち着いてやっていきたい」。言うまでもなく自覚十分だった。【金子航】

 [2010年2月6日17時10分

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