<ヤクルト2-1ソフトバンク>◇12日◇神宮

 ソフトバンク和田毅投手(29)が、オープン戦ラスト登板を6回2失点で締めくくった。12日のヤクルト戦に先発。5回、ガイエルに2号2ランを浴びて連続無失点イニングは「10」で途切れたが、あこがれのヤクルト石川との投げ合いで、シーズンさながらの緊張感あるピッチングを披露した。2軍戦1試合を経て、背番号21が8年目のシーズンに向かう。

 和田が中身の濃い77球を投げ込んだ。失敗もあったが、シーズンに生かせばいいと言わんばかりだ。5回裏無死一塁。初球の高め直球をガイエルに痛打され、2ランを食らった。だが、悲観していない。「今日はブルペンから直球がよくなかった。ひじも痛くなく、投げ終えられたのが一番。本塁打は想定の範囲内。シーズンで気をつけたい」。自身のオープン戦無失点イニングは「10」で途切れたが、ゲームを振り返る顔には、笑みが浮かんでいた。

 調子が悪くても、抑える技術があった。光ったのはテンポのよさ。6回を77球。試合時間はわずか2時間10分だ。ヤクルト石川に負けじと、自らのリズムに引き込む技が生きた証しだった。直球が危険と感じれば、変化球を駆使した。3回裏。先頭の田中浩を出塁させたが、続く相川を二ゴロ併殺に仕留めた。初球にボール球の直球を投げ、3球続けて変化球。狙い通りにピンチを脱した。

 因縁の石川との投げ合いも楽しんだ。出会いは浜田(島根)の2年生エースとして出場した97年夏の甲子園。初戦で押し出しのサヨナラ四球を与えた打者が秋田商の3年生・石川だった。プロ入り後も小さな体で奮闘する姿を尊敬してきた。05年の交流戦で初対戦したが、投げ合うのはそれ以来5年ぶり。この日は和田の近くで行われていたヤクルト石川の記者会見に「今日は勉強になりました」とちゃめっ気たっぷりの笑顔で“乱入”した。

 キャンプ中に左ひじに張りを覚え、調整が遅れていた和田にとって、この日のマイナスポイントは1つだけ。あまりのテンポのよさに、予定された100球まで球数が到達しなかったことだ。ただ、それも19日のウエスタン・リーグ阪神戦(鳴尾浜)に投げてクリアする。「今日は(他投手との)登板の兼ね合いがあるので。ブルペンでも投げられる」。今季初登板が予定されている本拠開幕の26日オリックス戦(福岡ヤフードーム)へ、死角はなくなるはずだ。【松井周治】

 [2010年3月13日11時35分

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