<オリックス1-0楽天>◇20日◇京セラドーム大阪

 楽天岩隈久志投手(28)は8回を1失点に抑えたが、金子との投げ合いに屈した。3回、先頭下山に141キロの外角直球を右中間二塁打され、1死三塁となってから9番大引に決勝中前打を浴びた。大引の5球目、135キロの外角フォークボールだった。ピッチャー返しで高くはずんだ打球にグラブを差し出したが、わずかに届かなかった。岩隈は「不運だったが、仕方がない。自分の投球はできた」と、最小点差の完投負けを振り返った。

 失点後はアクセル全開だった。4回1死二、三塁のピンチでは、T-岡田に力勝負。2ストライクから外角高めいっぱいの146キロで見逃し三振とし、続く下山にも150キロ速球で空振り三振に仕留め、連続三振で切り抜けた。

 結果は黒星でも、健在を敵にも味方にも示したことに意味があった。主砲の山崎は「何とかしてやりたかった。あんなピッチングして浮かばれん」。船出を託したブラウン新監督も「素晴らしい投球。本当によく投げた」とねぎらった。

 打線の援護がなかった岩隈は「シーズンは始まったばかり。1試合1試合、みんなで戦っていく」と気持ちを切り替えた。エースらしく、下を向かず堂々としていた。【宮下敬至】

 [2010年3月21日9時10分

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