<ロッテ9-1日本ハム>◇26日◇千葉マリン

 一瞬のためらいから生まれたミスが、大敗へ誘う分岐点になった。日本ハムが1点を追っていた3回の攻撃。2死二塁から成瀬の暴投で、走者の飯山裕志内野手(30)が本塁まで狙った。微妙なタイミングながらアウト。難攻不落の左腕の立ち上がり、絶好の追いつくチャンスがついえた。梨田監督が「あれはセーフだったかな」と後ろ髪ひかれるシーンだった。

 その回、先頭打者の飯山が中前打で出塁。田中の犠打で1死二塁、小技を絡め得意の攻撃パターンへ持ち込んだ。2死となり、打者・稲葉。そのカウント1-2からの4球目にチャンスが到来した。成瀬の内角低め変化球がワンバウンド。捕手・里崎が止められず、後ろへそらし、飯山はスタートを切った。

 里崎は本塁まで突入しないと確信していたかのように、緩慢にボールを追っていた。三塁コーチの真喜志内野守備コーチに走者を止める動作は1度もなく、腕を回していた。打席の稲葉も両腕を使ったジェスチャーで、呼んでいた。全員が同点にできる-と、状況判断していた。だが飯山は三塁を回ったところで、一時停止。瞬時の意思疎通ができなかった。

 故障欠場した金子誠の代役を務めた、飯山は「里崎さんが見失っているように見えた」と確認してから、再スタートを切った。指示のまま、トップスピードで向かっていれば完全にセーフだった。真喜志コーチは「あれで流れが変わった。選手に申し訳ない」と反省していたが指令通りならば、完ぺきに相手のスキを突いていた、はずだった。

 この日は飯山も含めて2失策と精彩を欠いた守備の乱れで、開幕戦も落とした。ミスをせず、相手のミスを突く、試合巧者ぶりが、日本ハムが近年、躍進した隠し味になっていた。開幕から1勝3敗。まだ4試合とはいえ、今季も不変であるはずのチーム戦術を徹底しなければ、先は開けてこない。【高山通史】

 [2010年3月27日9時41分

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