ソフトバンクが新外国人投手の補強に乗り出すことが9日、明らかになった。マイケル・オルムステッド投手(22)ら2候補が週明けに来日。16日からの楽天3連戦中(福岡ヤフードーム)に、王貞治球団会長(69)と秋山幸二監督(48)が実際に見て獲得を決める。いずれも実績が少ない投手だが、球団は巨人オビスポのケースのように日本で能力を開花させることを期待。入団が決定すれば王会長が編成を束ねるシステムになって以降、初の助っ人補強となる。

 今年1月に王会長を副委員長とした「編成委員会」(委員長は笠井オーナー代行)を立ち上げたソフトバンクが、水面下で新助っ人補強の動きを進めていた。リストアップしている新外国人投手2候補の近日中の来日が決定。すでに身分照会も終えており、早ければ16日にも、王会長と秋山監督のフロント&現場トップ2人が見守る中での入団テストが実施される。

 いわば「王プロジェクト」の補強第1弾。何よりユニークなのは2人の若さだ。来日する2投手は28歳と22歳と、ともに20歳代。メジャー経験が少ないのも共通する。関係者の話を総合すると、米球界で若い有望選手に重点を置いて調査した結果、リストに残った。テスト入団→育成枠→支配下選手登録の手順を踏み、昨年6勝を挙げた巨人オビスポのようなケースも球団は想定している。

 とりわけ球団が注目しているのは、22歳という若さが魅力のマイケル・オルムステッド投手だ。メジャー経験ゼロ。ただ実力は、侮れない。07年ドラフトでメッツに9巡目指名された身長198センチのスリークォーター右腕。150キロ超の直球が武器。昨年は右ひじを痛め1シーズンを棒に振ったが、07、08年の2年間でルーキーリーグ含めマイナー18試合に登板(14試合先発)。69回1/3を投げ、73奪三振で奪三振率は9・48。スピードと球威は大きな将来性を感じさせる。

 メジャー数球団が獲得を狙っている逸材との情報もある。体重110キロながら、無失策と、器用さも兼ね備えており、日本に適応できる下地はあると言えそうだ。迫力十分の体型を生かし、インステップでの投球フォームは右打者にとっては、脅威になるに違いない。主に先発だが中継ぎの経験もある。開幕当初に中継ぎだった神内を先発ローテに組み込むなどチームは苦しい台所事情だけに、即戦力として救世主になる可能性も十分だ。

 もともと2投手に着目したのは「編成委員会」発足以降、初の海外選手発掘業務となった3月メジャーキャンプ視察中だった。3月10日から海外渉外担当者を米国に3週間弱派遣。表面上の実績や売り込みだけにとらわれない、現地視察の成果こそが、この2投手だった。トレードなどを含めても今年に入ってソフトバンクは新戦力補強がなく新体制入団1号にもなる。ソフトバンクが大きな可能性を秘めた試みに打って出る。

 [2010年4月10日11時34分

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