育成枠出身のソフトバンク山田大樹投手(21)に1軍先発チャンスが巡ってきた。高山郁夫投手コーチ(47)は26日、岩崎翔投手(20)と山田の2人の名前を挙げ、5月3日のオリックス戦(スカイマーク)は、どちらかを先発させる考えを示した。山田は27日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(神戸第2)岩崎は28日の同戦にそれぞれ先発させて最終テストを実施。王貞治球団会長(69)から「同じ背番号34の金田さんを目標にしてほしい」と期待される山田が、1軍切符を自らの手でつかみ取る。

 「王の秘蔵っ子」がプロ初先発の座を狙う。序盤戦のヤマ場となる9連戦。総力戦の救世主候補として、山田は岩崎とともに白羽の矢を立てられた。

 9連戦ラストとなる5月3~5日のオリックス3連戦について、高山投手コーチは「長いシーズンを考えると、できるだけ(登板間隔を)詰めないようにしたい」と方針を示した。27日からの楽天3連戦に先発するホールトン、高橋秀、和田の3人を中5日でつぎ込むのではなく、3日に「第7の先発」を投入した上で、4日にホールトン、5日に高橋秀を中6日で先発させる見込みだ。

 候補に挙がったのは若武者2人。高山コーチは「山田もいいし、翔(岩崎)もいいと聞いている」と名指しした。山田は27日に、岩崎は28日にそれぞれ2軍戦に先発する予定。最終テストを経た上で、大役が決定する。

 特に“秘密兵器”となるのが山田だ。188センチの長身から最速152キロの直球を繰り出す大型左腕。3月に育成枠から昇格したばかりで1軍経験はないが、今季はウエスタン・リーグ3試合に先発して2勝0敗、チームトップの防御率2・70の安定感を誇る。26日は登板に備えて神戸入り。「今は自分のやれることをしっかりやるだけ。呼ばれた時にこれまでやってきた成果を出せるように、しっかり準備をしておきたい」と目を輝かせた。

 昨秋に3年間の育成契約が切れて1度は自由契約になったが、秋季キャンプを視察した王会長に素質を見いだされ、再度の契約を勝ち取った。3月に支配下選手となった際には「同じ背番号34の金田さんを目標にしてほしい」と400勝左腕の名前まで出してエールをおくられた。早くも訪れた下克上のチャンス。逃すわけにはいかない。

 [2010年4月27日10時58分

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