6年目を迎えるプロ野球交流戦が、12日にセ・リーグの本拠地で行われるナイター5試合で幕を開ける。各チーム24試合の計144試合が行われ、優勝チームには5000万円、最優秀選手には200万円の賞金が贈られる。阪神の開幕投手を務めるのは、交流戦通算最多タイ14勝の久保康友投手(29)。感情を表に出さない白星奪取マシンとして、甲子園の大歓声の中で日本ハム打線を抑え込む。

 久保の季節がやってきた。ここまで交流戦通算14勝で川上憲伸(ブレーブス)と並ぶ歴代トップ。昨季は2勝し、阪神移籍後の初勝利も、5月25日の古巣ロッテ戦(甲子園)だった。ただ、本人は数字に一切の関心を示さない。

 「(交流戦最多勝は)一切意識しない。勝ち負けのデータは、気にならないし、意味がない。現状で満足することが一番嫌い」。飽くなき上昇志向が、交流戦での強さの源だ。

 交流戦での戦い方は体に染みついている。「初対戦は投手の方が有利。僕は順応性が高いのかもしれない。芯があるタイプじゃないので、バッターによって変わるタイプ。短い期間にはいいのかもしれない」と自己分析。「(パの打者)ボールの違い、意識の違いがある。ボールとストライクをはっきりしないといけない。セ・リーグの打者はバットに当てるけどリスクはない。パ・リーグはストライクでも自分のスイングをして三振する。最後までボール球で勝負しないと痛い目を見る」と話した。

 さらに「機械みたいなもの。ゲームみたいな感じで、感情がない。やることを遂行するだけ」とコツも明かした。目新しい対戦に感情を左右されるのではなく、勝つことだけを目的としたマシンになる。だから、勝ち星を重ねられる。

 昨季、チームは交流戦で9勝13敗と借金を4つ抱えた。交流戦後は43勝40敗1分けと勝ち越したが、最後にそのしわ寄せがきた。「うちが勝てば、他の全チームが負けることもあるし、その逆もある。2連敗だけは痛い。全員で勝ちに行って、抜けられるチャンス。パ・リーグががんばってくれればね」。パが他のセ球団に勝てば漁夫の利を得るという、ちゃっかりした計算もある。

 この日は、甲子園でブルペン投球を行うなどして調整。久保の季節の1人勝ちを目論んでいた。【鎌田真一郎】

 [2010年5月11日12時14分

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