<阪神4-8日本ハム>◇13日◇甲子園

 ホトケの真弓も3度まで?

 昨年に続く交流戦連敗スタートとなった阪神真弓明信監督(56)が、勝ちパターン継投の再編に着手する。開幕から復活気配をみせていた久保田智之投手(29)が7回に痛恨の3点を失い、パ・リーグ最下位の日本ハムに連敗。5月に入って3戦連続で失点した久保田をセットアッパーから外し、藤川との「FK」リレーを一時解体する構えだ。ほころびを最小限で食い止め、再加速を図る。

 スタンドに響きわたる怒声が、復活劇の一時休止を物語っていた。久保田がマウンド上で顔をゆがめる。追撃ムードが高まる7回表に、悪夢が起きた。先頭の代打尾崎からまさかの4連打3失点。1点差から、逆転の夢は一気に遠のいた。続く8回にも田中賢にタイムリー三塁打を許し、2回で4点を失った。これでは打線の意気も上がらない。「最近、ずっとチームに迷惑をかけている」。試合後の通路で肩を落とした。

 3戦連続失点はセットアッパーにとっては、あまりにも深刻。「コースは悪くなかった」と報道陣に言われても「打たれたら一緒。切り替えてやるだけ」と言葉を絞り出した。

 鉄腕の復活が、チームの快進撃の源だった。07年に日本記録となる90試合に登板したが、その後、故障や不振に悩まされた。先発転向の思いを断ち切り、今季は再び中継ぎに復帰。藤川とともに登板すれば、「14連勝」という神話も生まれた。しかしその勝ちパターンも解体するときが近づいた。真弓監督は配置転換を問われ、否定しなかった。「いろいろ考えていきたい」。敗戦処理や2軍降格の選択肢がある。いずれにせよ、当面はセットアッパーの立場から離れることが確実となった。

 安藤、能見、岩田の先発3本柱を欠く先発スタッフの不安が悪循環を呼んでいる。この日は先発下柳が2回途中でKO。2番手渡辺から4投手で無失点リレーを展開したが、中継ぎ全員が好調ではない。「早めというか、攻撃との兼ね合いもある。つながないといけないが、誰か1人つかまる投手が出てくる」。劣勢で代打攻勢を仕掛けなければならないこともあり、次々と投手を送り出した。そして7回に6番手久保田がつかまった。

 投手陣の「駒」には限りがあるが、早急な整備が必要だ。中継ぎのメッセンジャーを先発で試すことが決定。好調を維持する2年目の西村が久保田のポジションに入る見込みだ。打線の勢いに陰りが見え始めただけに、投手力を上げていかなければならない。交流戦は昨年に引き続いて2連敗スタート。引き分けを含まなければ、05年以来初めての逆ダッシュだ。貯金はまだ「5」だが、3位中日は0・5ゲーム差で迫る。真弓阪神がなりふり構わぬ姿勢でベストの形を模索していく。

 [2010年5月14日11時11分

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