<横浜8-0ソフトバンク>◇25日◇横浜

 ゲームセットの瞬間、マウンド上で横浜清水直行投手(34)が小さく跳んだ。何度も拍手。駆け寄ってきた捕手の武山の頭をなでて、喜びを分かち合った。ロッテ時代の08年8月28日(対日本ハム)以来となる2年ぶりの完封ショー。「うれしい。ただそれだけです」。ヒーローは控えめに振り返ったが、ほおは緩みっぱなしだった。

 9回132球を気力で投げきった。「序盤から制球も悪かったし、どこで(打線を)切ろうかと考えていた」。5回と9回以外は走者を背負う苦しい内容だったが、丁寧に低めを突くことを心がけた。重ねたゴロアウトは17個。「経験ですよ」と胸を張った。

 前回18日の登板(対楽天)で5回に一挙5点を奪われた。武山とサインが合わず、リズムを崩したのだ。仙台、札幌と続く遠征中に時間をかけて話し合い、25歳の若い捕手に「結果を気にしすぎるな。もっと楽しめ」と助言した。武山は「清水さんはオン・オフがはっきりしている。性格がだいぶ分かった」という。25日はストライクとボールにメリハリをつける配球で、バッテリーの呼吸もピタリと合った。前回の反省を完封へとつなげた。

 清水の力投で、横浜は08年から続くソフトバンク戦の連敗を8で止めた。「悪い流れは今年で全部止めないといけない」。マウンドの背番号「17」が、いつも以上に頼もしく見えた。【鈴木良一】

 [2010年5月26日9時37分

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