<日本ハム4-5広島>◇1日◇札幌ドーム
大竹復活!!
右肩痛で出遅れていた広島大竹寛投手(27)が日本ハム戦(札幌ドーム)で今季初登板初先発し、7回3失点の力投を見せた。初回に3点を奪われる不安定な立ち上がりだったが、2回以降はエンジンがかかり、打線の反撃を呼び込んだ。8回に勝ち越し、一時は勝利投手の権利を得たが、その裏に再び同点に追いつかれてスルリ…。それでも自身の“今季開幕戦”で好投し、チームの連敗も「2」で止まった。
カメラマンのお目当ては背番号17だった。一塁側ベンチ前での勝利のハイタッチ。一列に並ぶ広島ナインのなかで、無数の明るいフラッシュは大竹だけを照らした。復活の白星はつかない。それでも、2カ月遅れの“開幕戦”で、紛れもなく勝利の立役者になった。
大竹
何とかね…。走者を背負ったけど、そこから粘るのが自分のスタイル。(1回は)少し硬さが正直あった。気持ち、体の面で。ゴロのヒットだったし、自分は粘っていくだけ。
土壇場で勝負師の顔に戻った。同点で迎えた7回2死満塁。4番二岡に対し、カウント1-1から石原のリードに首を振る。自ら選んだスライダーで右飛に仕留め、絶体絶命のピンチをしのいだ。大野ヘッド兼投手コーチは「球速が出てないけど、丁寧に投げてくれた」と評する。この日のストレートの最速は144キロどまり。今季の初マウンドだけに、初回は浮足立った。連続適時打を浴びて3点を失ったが、2回以降は変化球主体の配球に切り替えた。珍しく、かわす投球術で日本ハム打線を封じ、7回3失点にまとめた。
今季の開幕投手筆頭候補も、2月の日南キャンプで270球を投げ込み、右肩に異変が生じた。「こんなこと、計算してません」と漏らしたことがあった。右肩の関節に引っ掛かり感が生じるインピンジメントの症状で、開幕後も一進一退を繰り返した。テレビで仲間の戦いぶりを見つめたこともある。疎外感、あせり…。負の感情を取っ払ったのは、リハビリ中にも使い続けた赤いグラブだった。
左の手のひらに当たるように「ゆったり」の文字が刺しゅうされている。5月31日。登板前夜だったが、チームスタッフと北海道の海の幸に舌鼓を打った。「初めてとか、勝利に貢献しようとか、考えずに」。あえて気負わず、背負わず、ゆったりと95球を投げた。そこには精神的にたくましくなった昨季の大竹がいた。
野村監督も「独特の雰囲気があるし、チームに明るさを持ってくる。大竹が戻ってきた試合で勝てたのは大きい」と評する。6月初戦を制し、連敗も「2」で止めた。自身の白星こそ逃したが、昨季の10勝右腕は言う。「チームが勝てたことが良かった。次の試合もしっかり調整して、チームが勝てるように」。頼もしき大黒柱が、6月反攻の旗手になる。【酒井俊作】
[2010年6月2日11時9分
紙面から]ソーシャルブックマーク



