<ソフトバンク3-9日本ハム>◇23日◇北九州

 ソフトバンク松中信彦外野手(36)とロベルト・ペタジーニ内野手(39)が意地のアベックアーチだ。大量9点をリードされた4回、先頭松中の5号ソロとペタジーニの3号2ランで“二矢”を報い、一瞬ながら大逆転勝利の夢を北九州のファンに抱かせた。泥沼の6連敗となったチームで、MP砲の反発がかすかな光明となった。

 このままじゃ終われない。主砲のひと振りが、静まりかえっていた北九州の観客席と一塁ベンチを鼓舞した。0-9と大量リードを奪われた4回。ベンチ前で組まれた円陣から打席へ向かった松中が、日本ハム矢貫の初球に襲いかかった。高めの直球をバットでたたきつぶし、夜空へ舞い上げた。帰り支度を始めようとしていたファンを引き留めるかのように、打球は右翼席上段へ突き刺さった。

 松中

 流れが悪いから、ああいう風に変えていかないと。

 背番号3は口元を固く結んだまま、ダイヤモンドを1周した。チームへ向けた無言の叱咤激励は、自身の悔しさをぶつける1発でもあった。7日の阪神戦から4番に座っていたが、22日は10試合ぶりの欠場。武田勝との相性が理由とされた。「体調は大丈夫。ピンピンしてますよ」。右ひざの状態に問題はなかったからこそ、余計にベンチにいるのがつらかった。今季初の3番起用で「1発回答」を見せた。

 松中の意地に触発されたのがペタジーニだ。多村の安打をはさみ無死一塁で打席に立つと、浮いたフォークを撃ち抜いた。左翼席中段へアーチをかける3号3ラン。「松中サンの本塁打で勢いに乗れた」。初めてのMP砲そろい踏みで、打線も目覚めた。続くオーティズ、長谷川、松田も安打で続き、6連打の猛攻で矢貫をKO。せめてもの意地だった。

 序盤に背負った9点のビハインドはあまりにも大きく、連敗は6にまで伸びてしまった。4位オリックスには2・5ゲーム差にまで迫られた。20日西武戦の4回から24イニング連続で適時打がないなど、つながりを欠く打線も苦しい状況から抜け出せない。だが、この2発をただの空砲で終わらせるわけにはいかない。

 試合後は言葉少なに帰りのバスへ乗り込んだ松中に代わり、ペタジーニが立ち止まって語気を強めた。「大変な時期が続いているけど、いつかは終わるはず。みんな調子が良くなっていくと思う。自分の好調は続けていきたい」。悪夢もいつかは覚める。長距離砲2人が見せた執念が、トンネルの出口を探す灯火になるはずだ。【太田尚樹】

 [2010年6月24日12時5分

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