<阪神6-10ヤクルト>◇8日◇甲子園
転んでも、ただでは起きまへんで!
阪神クレイグ・ブラゼル内野手(30)が、ヤクルト戦でセ・リーグ単独トップとなる29号ソロを放った。5点を追う9回。ヤクルトの守護神・林昌勇から甲子園の右翼スタンドに1発をたたき込んだ。1回にも適時打を放っており、連続試合打点は6に更新。反撃及ばず敗れたが、B砲がけん引する猛虎打線は決してあきらめない。
最後まで残った虎ファンに捧ぐ、キング弾だった。一方的完敗の中で、ブラゼルが猛虎の意地を見せた。ビハインドは5点の9回。ヤクルト守護神・林昌勇の143キロフォークの落ち際をとらえ、右翼席に運んだ。試合終了まであきらめない思いを示した一撃は、本塁打王争いで再び単独トップに立つ29号ソロだ。この日試合のなかった巨人ラミレスと阿部を抜き去り、初の30発にも王手をかけた。
だが試合後はコメントすることなく、ロッカーに消えた。赤く険しい表情が悔しさを物語っていた。初回の先制打で今季2度目の6試合連続打点をマークしたが、安藤がまさかの9失点KO。相手先発加藤にプロ初勝利を献上し、3連勝を逃した。勝てば首位巨人に1・5差まで肉薄できたが、逆にゲーム差は2・5へ拡大。口癖が「チームの勝利が最優先」の男だけに、喜べないキング弾だった。
神様仏様と称された大先輩の言葉が、励みになっている。球団記録の54発をマークした85年日本一の主砲、ランディ・バース氏(56)から、5日に「十分可能でしょう」と年間56発の日本新記録に太鼓判を押された。「バースさんの言葉は重みがある。日本で偉大な記録を残された方にそういう言葉をいただけるのは誇りに思う」。同じ左の長距離砲。28号を打った巨人戦も来日中のテレビで観たという同氏の言葉は、大きな勇気になった。現在、王、ローズ、カブレラの日本記録に並ぶ55本ペースで爆走中だ。
初の球宴出場にもアピールになった。「名誉なことだし、選ばれたらもちろん出たいよ」。打率も3割超の成績を残しながら、ファン選出や監督推薦に漏れた。だが最後の1人をファンが選び、現在投票中の特別選出枠のチャンスが残っている。坂井信也オーナー(62=電鉄本社社長)も試合後「発表いつかな?
可能性はあるわな」と自ら話題を持ち出した。同僚マートンも「ブラゼルに1票を!」と呼び掛ける夢の舞台。この夜の1発で、一歩近づいたことは間違いない。
深夜の駐車場。シャワーを浴びた男は気持ちを切り替え、ナインの思いを代弁した。「本塁打はもう終わったこと。それより、また新たに考えたい。今日は残念だったけど、チームとしてはいい状態が続いている」。好調な打線は6点を奪い、貯金は10ある。安藤は誤算だったが、悲観する敗戦ではない。大事なのは引きずらず、今日からの横浜3連戦に備えること。週明けの首位攻防巨人戦を前に、しっかり最下位ハマをたたきに行く。【松井清員】
[2010年7月9日12時12分
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