<西武1-9日本ハム>◇13日◇西武ドーム

 快進撃は止まらない。日本ハムがついに、ソフトバンクに並んで今季初の3位に浮上した。1点を追う4回に陽岱鋼外野手(23)の2点適時打で逆転すると、5回に小谷野栄一内野手(29)、糸井嘉男外野手(28)の連続適時打で突き放した。今季最多タイの貯金4となり、首位西武には4連勝で再び4ゲーム差に迫った。クライマックス進出どころか、奇跡の逆転連覇も夢ではなくなってきた。

 今季44個目の白星は、ひと味違う大きな意味があった。楽天に敗れたソフトバンクと同率で並び、日本ハムが今シーズン初めて、3位に浮上した。視界は、確実に変わった。それでも梨田監督は、いつにも増して、冷静だった。「あんまり順位とか考えてない。ずっと下にいたし、気楽にやってきたしね。1つ1つ。ピッチャーもいないし、先のことは考えられないよ」。笑みこそ絶えなかったが、喜びを爆発させることはなかった。

 対照的に、バットは爆発した。「どこからでもつながる」高性能な“携帯電話”のような打線が、首位西武を相手に本領を発揮した。1点を追う4回、中軸の稲葉、小谷野が連打でチャンスメークすると、2死二、三塁から、7番の陽が左前に逆転2点適時打を放った。「前の先輩たちがいいバッティングをしているので、それに乗せられました。僕は勝負強くないので、ラッキーでした」。控えめに、喜びを表現した。

 5回はその逆パターン。先頭の9番金子誠が中前打で出塁し、2死一、二塁となって小谷野が右中間へ2点適時二塁打。さらに糸井が左前適時打で続いた。小谷野は「みんなが状況に応じた打撃を心掛けていますから。気持ちの持ちようだと思う」と、全員の思いを代弁した。

 9回には8番の鶴岡が、満塁から走者一掃の3点適時二塁打でとどめを刺した。上位でも、下位からでも打線はつながり、得点は次から次へと積み重なった。9点中8点は2死から。梨田監督は「粘り強いね。前の打者が倒れても、次の打者が何とかしてくれる」と目を細めた。首位チームが相手でも“圏外”はなし。安打数を示すスコアボードには、この日も“電波良好”とばかりに2ケタ12本が表示されていた。

 5月4日には最大14の借金があり、6月10日には首位と13ゲーム差の最下位に沈んでいた。その“ハンディ”は、もう過去のものになった。クライマックスシリーズ出場はおろか、リーグ連覇の可能性も広がるAクラス浮上。だが、梨田監督は「ファイターズらしい戦いを心掛けるだけ。まだ一番底にいると思ってやっている」と、挑戦者の姿勢を崩さない。おごりのない王者は、何よりも強い。【本間翼】

 [2010年7月14日11時39分

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