なんだか球界の、阪神の、昔からの“言い伝え”を思い出すようなゲームになった。往年の野球ファン、虎党なら一度は聞いたことがあるかもしれない。

<1>巨人戦燃え尽き症候群 これは阪神ならではか。自軍が強いときもそうでないときも巨人を永遠のライバルとして位置づける阪神。「伝統の一戦」は他のカードより重要だ。

以前は巨人戦の前にだけ全体練習を行うというような時代もあった。だからこそ、巨人との連戦が終わった後は心身とも虚脱状態のようになり、いい結果が出ないというものだ。

前日まで東京ドームで巨人をスイープし、暴れまくったナイン。そして東京から広島まで4時間の新幹線で移動してのゲーム。それもあって少し心配したが、まあ、そんなこともないかと思っていた。

それがキッチリはまった形だ。復活を期す広島・森下暢仁の前に序盤、手も足も出ない。典型的だったのが4回の攻撃か。無死一、二塁でこの日、26歳の誕生日を迎えた森下翔太が、しかし、遊ゴロ併殺。続く佐藤輝明も空振り三振に倒れて好機をモノにできなかったのである。

<2>投手に打たれてはいけない これはよく言われることだ。来季からセ・リーグもDH制になるので、そんな言葉も消えていくのだろうが今年までは生きている。この日、先発・才木浩人が崩れた要因はこれが大きいと思う。

2死一、二塁で相手先発の森下に左前適時打で先制を許した。1点どまりだが、やはりダメージだ。それが影響し、3、4回に被弾するなど失点を重ね、わずか4回で降板した。

「投手にね(適時打を)打たれている。ベストではないですね」。当然、この言葉を知っている指揮官・藤川球児もそういう話をしたのである。

<3>連敗中の相手と戦うのはイヤなもの これも聞いたことがあるのではないか。連日、戦うプロ野球。どれほど負けていてもいつかは勝つ。6連敗だった広島も「そろそろ勝つころか…」。そんな思いを持ちながら試合に臨むのは、結構、不気味なものだ。

そんな“オカルト”は別にして、今季は広島戦で打線がなかなか機能しない。ここまで同戦の本塁打「9」は5球団相手で最少だ。すっかり「打力のチーム」になっている今季。打線が沈黙すれば簡単には勝てないのである。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)