<オールスターゲーム:全セ5-5全パ>第2戦◇24日◇ハードオフ新潟

 新潟の夜空に、大きなアーチをかけた。楽天山崎武司内野手(41)が2回、巨人東野から第1戦に続く2試合連続本塁打を放った。40歳代では史上初となる2本塁打。5試合連続打点は球宴タイ記録。選手間投票で選出された今年は、出場全選手中最年長だ。試合は5-5で7年ぶりに引き分け、通算成績は全パの75勝70敗9分けとなった。

 山崎しか鳴らせない、1オクターブ高い打球音が越後平野に響いた。呼応して、ピュアな新潟の野球ファンが発した驚きの声。心から出た「うおぉお」という合唱に後押しされ、打球は真っすぐ伸びた。「何が一番うれしかったって、新潟のお客さんの声援。ビックリするくらい大きかった」。左中間スタンド最深部へ飛び込む本塁打。41歳最年長が、23日から2打席続けてアーチをかけた。

 全セ先発の若き右腕・東野自慢の148キロ直球だった。2回の第1打席、初球。けれん味なくしばいた。「若い東野君に振り負けないように、と思った」と喜んだ。「ここまできたらMVP、狙ってたんだけど、あと1本が出なかった」。それでも球宴選出時に宣言した「大いに本塁打を意識していきたい」という“公約”は実行。一塁でスタメン出場し、結局最後まで球宴を満喫した。

 40代の2戦連発は史上初めて。大目標の門田博光氏を「1つだけ、上回った。よしよし」と納得できた。試合前早くから埋まるスタンドを見渡し、「初めてプロ野球を見る方も多いはず。いいとこ見せたい」との目標も果たした。「子どもを連れて見に来た、同世代のファンも多かったはず。喜んでもらえたと思う」。気が優しくて力持ち。あるべき野球人の姿を、最後までまっとうした。【宮下敬至】

 [2010年7月25日8時56分

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