<阪神4-3ヤクルト>◇14日◇京セラドーム

 阪神ジェイソン・スタンリッジ投手(31)が、自己最多の8勝目を挙げた。背筋痛から復帰し、8月3日以来のマウンド。好調ヤクルト打線に連打を許さず、7回途中まで2失点。先発陣の早期降板が続いていたが、気迫の投球で食い止めた。阪神1年目の外国人投手で、8勝以上は4人目。首位巨人が勝ちゲーム差は1のままだが、頼もしい助っ人右腕が虎投を支える。

 頼れる男が帰ってきた。スタンリッジが、11日ぶりのマウンドで8勝目を手に入れた。6回0/3を5安打2失点。「最高に気持ちよかった。負けが込んでいたので、自分のピッチングで勝ちたかった」。124球を投げた右腕は、久々のマウンドを楽しんでいた。

 動じなかった。1死一、二塁のピンチ。川端に粘られたたが、8球目の内角低めのシュートで注文どおりの遊ゴロ併殺に打ち取った。大歓声がわき起こる中、ベンチ前で鳥谷、平野の帰りを待った。グラブでハイタッチを交わし、感謝の気持ちを伝えた。

 復帰星になった。8月3日、巨人戦(東京ドーム)で、自身の連勝が「6」で止まった。さらに、登板後に背中の張りを訴えた。先発転向以来、守り続けたローテーションを飛ばした。そんなアクシデントにも、前向きだった。「投げたかったけど、しっかり休めたのはよかった」。故障中も支えてくれ、この日球場で見守ってくれたジョイ夫人と長男キャッシュ君のためにも、負けられなかった。

 頼れる右腕は、死のロードにも動じない。メジャーを志した20代。悲惨な環境を乗り越えてきた。2Aのサザンリーグに所属していたころは、バス移動が基本。登板日前日に試合時間が長引くと、調整のことを考える余裕はなくなった。翌日の試合会場まで10時間以上バスに乗りっぱなし。「寝られないし、全然楽しくなかったね」。到着時間が午後2時になることもあった。それでも、先発の役目を果たしていた。

 最後は仲間の力を借りた。7回に無死から、安打と四球を与えマウンドを譲った。それでも先発投手が6回以上投げたのは6試合ぶり。その上で白星を挙げたのは8月4日巨人戦(東京ドーム)で7回2失点と好投したメッセンジャー以来、8試合ぶり。先発陣が踏ん張れない試合が続く中、価値ある1勝であることは間違いない。

 お立ち台で、右腕を支えるすべてに感謝した。「カミサマハ、ワタシノチカラデス」。敬虔(けいけん)なクリスチャンは、チームの大きな、大きな力になっている。

 [2010年8月15日11時2分

 紙面から]ソーシャルブックマーク