<横浜8-12阪神>◇17日◇長野

 阪神の17安打12得点の猛攻を締めくくったのは、ルーキー藤川俊介外野手だ。23歳の誕生日のこの日、8回に代走で途中出場。9回の初打席で、横浜の守護神山口から、打った本人もびっくりの1号3ランを放った。セ・リーグ最高のチーム打率2割8分2厘を誇る打線には、こんな頼もしい新戦力もいる。こりゃ、優勝するしかないでしょう。

 黒虎軍団に、ルーキーのびっくり弾が飛び出した。1点を勝ち越した9回2死一、二塁。途中出場の藤川俊がこの日、初打席に立った。守護神山口の内角直球を72キロの細身の体でフルスイング。左翼席に入ったプロ1号は、トドメの3ラン。ホームに戻ると城島にヘルメットを脱がされ、ブラゼルとダンスを踊った。

 藤川俊

 前の打者(城島)が歩かされていたので、打ってやろうと思った。入るとは思わなかった。何も考えられなくなって、頭が真っ白になった。

 23歳の誕生日を自ら祝うバースデー弾。両親からは「しっかり誕生日を迎えられたんだからケガだけしないように」と言われていた。そんな両親の心配を吹き飛ばし、おつりがくるような一撃。本人も「誕生日にあまり打ったことない。出来すぎです。自分でもびっくりしている」と驚いた。

 真弓監督の背番号7を継承し、開幕1軍を果たした期待の新星。ただ5月に12試合で先発起用されたが、その後は代走、守備固めに逆戻り。「6月、7月はずっと調子が悪くて、結果を残せなかった」。試合前のわずかな時間で軸足1本で立ってバットを全力で振る練習で筋力を強化。辛抱強くチャンスを待った。真弓監督は「その前の打席(12日広島戦)でもヒットを打っているし、打撃の力はついてきている」と認めた。

 その将来性を高く評価している選手がいた。メジャー帰りの城島だ。城島は前半戦から「雰囲気を持っている。チームの軸になれるようなタイプの選手」と評していた。この日は「試合に出て感覚をつかむタイプだけど、その中で思い切ってよく打った」とほめた。

 藤川俊は初のヒーローインタビューで「これからもどんどんいいプレーをしていくので応援してください」とファンに呼びかけた。その心の中には広陵の恩師中井監督の言葉が刻み込まれている。「満足するな」と-。【益田一弘】

 [2010年8月18日11時0分

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