<日本ハム5-4西武>◇20日◇札幌ドーム

 日本ハムが伏兵コンビの初ものずくめの活躍で、北海道に本拠地移転後、通算500勝を飾った。3点を追う9回2死一、二塁から、13年目の飯山裕志内野手(31)がプロ初本塁打となる起死回生の同点3ラン。最後は延長10回1死一、二塁で、5年目の高口隆行内野手(26)がプロ初のサヨナラ安打となる二塁打を放って決着をつけた。首位西武を土壇場でたたき、貯金を再び1として逆転Aクラス入りへ望みをつないだ。

 どよめいた。ベンチも、スタンドも総立ちになった。延長10回1死一、二塁。途中出場の高口が決めた。右中間へのサヨナラ二塁打。炭酸飲料のシャワーを浴び、もみくちゃにされた。「もうベトベトです」。土壇場で追いつき、ひっくり返した。中田が先制弾を放ち、ダルビッシュが崩れた最悪のシナリオを描き直した。主役級の2人をかすませる、奇跡のようなドラマを完結させた。

 伏兵祭りだった。おぜん立てしたのは、飯山だ。3点ビハインドの9回2死一、二塁。カウント2-0からだった。シコースキーの内角へ抜けてきたフォークを強振した。全身を鋭く回転させ、さばいた、放物線を描いた白球は、左翼席まで届いた。同点弾はプロ13年目で初アーチ。未知の体験だけに、ダイヤモンドを全力疾走で1周した。「僕以上にみんなの目が丸かったんじゃないですか」と、はにかんだ。

 ひそかに狙い澄ましていた。今季、周囲には「ホームランを打ちたい」と明かしていた。打撃フォームも改造。タイミングの取り方を、すり足から、大きく左足へ変える打法へと変えていた。ここぞの場面で、賭けは当たった。寮の自室での独り晩酌がささやかな楽しみの薩摩隼人(はやと)は、静かにかみしめた。「1人になったらテンションが上がる」と至福の一振りを回想した。

 同じく守備固め要員の高口は、先制弾を放ちブレーク中の中田を日ごろからサポート。自分自身のファーストミットが小さく、使いづらいと嘆いていた後輩の申し出を受け入れ、愛用品を惜しげもなくレンタル。見えない部分でも、活躍を支えてきた。飯山は右ふくらはぎ肉離れで離脱した、金子誠の代役出場。名脇役コンビがシンクロし、がけっぷちからすくい上げた。

 2カード連続で負け越し中と沈みかけていたチームに、生命力を与える白星になった。梨田監督は「首位西武に3点差をはね返した。これからの戦いに元気が出て、勇気が出る」と、少し興奮しながら感謝した。負ければエースのダルビッシュの登板日に2連敗で、借金生活へ突入する大きな節目での大逆転。残り31試合で狙うは、まず逆転Aクラス入り。渋い2人の役者がハッピーエンドへとつながりそうな序章を、つくった。【高山通史】

 [2010年8月21日10時23分

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