ソフトバンクの「ガリバー」が2日、ベールを脱いだ。宮崎秋季キャンプ参加中のジョナサン・プレフカ投手(26=米独立リーグ・ブロクトン)の育成入団テストが本格スタート。30球のブルペン投球を行い、206センチの長身から投げ込まれる球が、王貞治球団会長(70)から高く評価された。3日以降の実戦形式でのテストを経て合否は決まるが、右腕不足に悩むチームに救世主が誕生する期待が高まった。

 プレフカのブルペン初投球を見守った王会長が、大きな瞳をさらに大きくした。キャンプ地の宮崎・生目の杜で、入団テスト初日に臨んだ右腕の投球練習を、捕手の斜め後から厳しくチェック。思わず称賛の声をもらした。

 「角度があるね。球に力もありそう。非常に角度がある。大きい人にしては器用」

 王会長がほめたのは変化球、制球だけでなく、見たこともないような投球の角度だ。206センチの身長は、球界最長身の中日ネルソンより2センチ高い。上手投げで高いリリースポイントから低めへ投げ込まれる球は、どんな球でも本塁打にしてきた王会長を驚かせるに十分だった。

 「明日(3日)1カ所打撃をやったり、週明けにも実戦的なことをやるみたいだから。今日見て(合否が)どうこうはないよ」

 王会長は慎重に言葉を選んだが、チームにとって、文字通り大きな戦力になる可能性を秘める。今季右の先発投手が挙げた勝ち星はわずか11勝。今ドラフトでも補強できなかった即戦力右腕は、のどから手が出るほど欲しいのが実情だ。育成入団のテストは今日以降も続くが、アピール次第では一気に支配下登録を勝ち取る可能性もある。

 本人も気合十分だ。メジャー経験のない26歳。マイナーリーグや独立リーグで苦労を重ねた。

 「若い時は速い球を投げることしか頭になくて、苦労した。今は制球とか細かいことを意識してやっている。もう少し磨けば十分に通用すると思う」

 リーグ連覇へ向け、ソフトバンクが大きな武器を手にする可能性が高まった。

 [2010年11月3日11時14分

 紙面から]ソーシャルブックマーク