【オーランド(米フロリダ州)6日(日本時間7日)=四竈衛、佐藤直子通信員】楽天から自由契約となっていた藪恵壹投手(42)が、現役引退を決意した。この日開幕したウインターミーティングの会場で明かした。来季からは、古巣阪神の2軍投手コーチに就任する予定。

 決意を固めた表情は晴れやかだった。17年間の現役生活に区切りを付け、第2の野球人生に踏み出す心意気は、既に高まっていた。「ランディング(着陸)します。腹は決まってますから」。大リーグの関係者が一堂に会するウインターミーティングの会場を初めて訪れたのも、旧知の関係者や知人へあいさつし、次の舞台へ向けて気持ちを切り替えるためだった。

 悩んだ末の引退だった。94年に阪神入りして以来、エースとして活躍し、05年にはアスレチックスへ移籍。その後は、マイナー生活を経験しながらも、08年にはジャイアンツでメジャー復帰。シーズン途中でテスト入団した楽天を自由契約となった今オフも、米アリゾナで自主トレを続けながら現役続行への可能性を模索していた。

 その一方で、現役続行を希望する藪の意思を尊重し、2軍投手コーチのポストを用意していた阪神へ恩返ししたい気持ちも強かった。現役への未練を断ち切るのは簡単ではなかったが、若手を育成する喜びに魅力も感じている。「コーチというのは、片手間でできる仕事ではない。僕は兼任なんて無理。若い選手に(練習を)やらせるのは、僕のスタイルじゃない。自分から能動的にやるのが本当の練習です」。日米両国の野球を熟知しているだけに、日本球界にとっても大きなプラスとなるに違いない。

 [2010年12月8日14時36分

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