阪神がメジャー移籍を目指している小林宏之投手(32=ロッテからFA)に対し、年明けにも本格交渉する可能性があることが28日、分かった。貴重な中継ぎの戦力として、慎重に動向を調査してきた。球団首脳がアクションを起こし、メジャー挑戦を断念したときの本命球団の座を確保する。

 阪神のオフシーズンはまだ終わっていなかった。この日育成枠で内野手のベキオナチと契約。球団納めとなったが、重大使命とも言えるリーグ制覇へ、補強の手は緩めない。球団首脳は今後の動きを明かした。「あとは小林宏だ。年明けにも、こちらから動くことを考えている」。来年1月中にも、本格交渉する可能性をほのめかした。

 今年は例年になく、静かなオフだった。マートンやブラゼルら外国人はフォッサムをのぞき、5選手の残留が決定。2位に入ったチームに大きな穴は見当たらない。不安材料があるとすれば、中継ぎ陣だ。今季は守護神の藤川につなぐセットアッパーが固定できず、苦戦を強いられた。ロッテを日本一に導いた小林宏は、まさに適任。「うちの補強ポイントにピタリとはまる。年齢的にも若いし、魅力的だ」と球団首脳は強い関心を隠さない。

 小林宏はメジャー移籍を熱望しているが、現時点で目立った進展は見られない。「焦りはない」と自身は長期戦も覚悟の上。最終決着は2月にずれ込む恐れもある。阪神も慎重に動向を調査し、その意思は理解している。ただメジャー移籍を断念した場合、国内の受け皿として、本命球団の地位を確立しておいて損はない。球団では、幹部クラスが交渉に出馬する準備もある。直接対話することで、小林宏の気持ちや現状を把握することもできる。

 阪神は米大リーグのレッドソックスからFAとなった岡島秀樹投手(35)の代理人とも接触した。メジャー左腕にも興味を持ったが、チームの構想に合致するのは小林宏と考えている。今季はFA市場で楽天から捕手の藤井を獲得したが、もう1枠を使うことは可能。今季年俸1億7000万円を考慮し、慎重に提示条件を検討している。

 この日、南球団社長は来季に賭ける思いを吐露した。「悔しいシーズンが続いている。何とか突き抜けて勝ちたい」。何が何でも優勝-。おとそ気分もそこそこに、年明けから阪神が積極的に行動を起こす。

 [2010年12月29日11時15分

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