政宗公のご遺志を引き継ぎ申す-。楽天岩村明憲内野手(31)が愛媛の「宇和島藩」13代目当主、伊達宗信(むねのぶ)氏(39)と面会する可能性があることが2日、分かった。宇和島藩の開祖は、伊達政宗の長男秀宗。楽天のおひざ元・仙台の伊達藩とは血縁関係にあり、宇和島出身の岩村に関心を示した宗信氏が対面を希望している。伊達つながりで岩村が、あの独眼竜の子孫と顔を合わせる。

 不思議な縁を感じずにはいられない。故郷をこよなく愛する岩村は、伊達家にも親近感を覚えている。母校・宇和島東のすぐ近くにある宇和島市立伊達博物館は「小学生のころ、よく遊びに行った」という思い出の場所。伊達家所蔵のお宝を眺め、育った。同じ伊達藩ゆかりの仙台でプレーすることに「縁があるのかな」と話している。

 そんな岩村に“お殿様”が注目しているという。宇和島伊達家の現当主、13代宗信氏だ。戦国武将の伊達政宗から数え、12代あとの直系子孫にあたる。都内で会社員として働いていたが、08年に父の先代宗礼氏が死去。急きょ家督を継ぎ、現在は都内に住みながら、財団法人「宇和島伊達文化保存会」の理事長を務める。同財団関係者は「(宗信氏が)岩村選手にお会いしたがっています。宇和島と仙台の縁を取り持って欲しいようです」と明かした。

 伝え聞いた岩村は「非常に光栄なこと。日程が許せば、ぜひお会いしたいですね」と喜んだ。年末年始は宇和島に戻っており、今日3日、同じ宇和島東出身の中日平井らと始動する。10日過ぎから沖縄で自主トレの総仕上げを行い、帰京後、月末までに仙台入り。タイミングが合えば、東京で対面が実現しそうだ。

 政宗は18歳で家督を継ぐや勇猛果敢に領土を広げ、「奥州の虎」と恐れられた。天下統一目前の豊臣秀吉とも対立。最後は服属したが、野望は晩年まで抱いていたという。強大な敵を相手にも捨てなかった「天下人たらん」の夢。政宗の生きざまは、ヤクルトから単身渡米し、帰国後は新天地仙台からの日本一を目指す岩村にも通じるはず。宗信氏との対面が実現すれば、「120%の力を出してチームに貢献したい」という岩村にとって、熱き伊達魂を引き継ぐ機会となりそうだ。【古川真弥】

 [2011年1月3日11時8分

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