エネゴリくんの省エネ投法や!

 阪神ドラフト1位の榎田大樹投手(24=東京ガス)が3日、鹿児島・大崎町で自主トレを公開した。最大の売りは、テンポの良さ。昨年のアジア大会では「エネゴリくん」というニックネームを授かった左腕。見た目だけでなく、投球スタイルもエコを目指す。村山実、渡辺省三ら猛虎の名投手が残した最少投球数での完投が究極の目標だ。

 エネルギーをすてきに…「ENOKI」。緊張のルーキーイヤーを迎えても榎田の頭の中はクレバーだ。理想は最大効率で勝利を手に入れること。極めた先には最少投球73球での完投勝利も見えてくる。

 「想像はつかないですけど、少ないに越したことはない。球数が少なければ、長く投げられるので」

 昨年、11月に参加した広州アジア大会では、その風貌から石油会社「ENEOS」のCMキャラクター「エネゴリくん」がニックネームだった。だが、投球スタイルもイメージにぴったりだ。

 「高校時代は1人で連戦、連戦だった。監督にも27球で打ち取るように言われていた。三振よりも、サイドをついてゴロを打たせることにつながっていると思います」

 球団では57年の大崎三男が73球のリーグタイ記録を持つ。渡辺省三は75球、生え抜き唯一の200勝投手村山実は、76球でシャットアウト。打高投低が著しく、継投が主流となった現代では難しい記録であることは間違いない。80球以下での完封を達成したのは77年の江本孟紀(80球)がセ・リーグでは最後。それでも、昨年はルーキー秋山が9月12日のヤクルト戦で、93球の完封勝利を飾っている。

 強力打線も後押しする。大量援護に守られれば「自分のペースで投げられます」と大胆投球も可能になる。球数に加え、テンポの良さが最大の持ち味だ。社会人時代も、2時間を切る試合がほとんど。高校時代、ブルペンで1分間に6、7球のペースで投げ込みを積んできたことが身に染み込んでいる。イニング間の投球練習もすぐに終わるため、チームメートから「守備練習ができない」と珍クレームを受けたこともあった。

 「リズムが悪いとチームの攻撃にも影響が出てくる。リズム良く、攻撃につながりやすい投球をしたい」

 野手陣との共同作業が、究極の記録を達成可能にするかもしれない。

 3月12日には九州新幹線が全線開通し、新大阪からの直通運転も開始する。故郷鹿児島から新大阪は最短3時間45分。22年間過ごした九州の知人も、甲子園が身近になる。

 「交流戦では福岡でも試合があるし、両親や友達も見に来られる。まずは、僕が1軍にいることが大事」

 エネゴリくんがエコ活動PRで地球を救うなら、榎田クンはエコ投法で虎を救う。

 [2011年1月4日11時25分

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