早くも大器の片りんをのぞかせた。西武の新人合同自主トレが9日、埼玉・所沢の西武第2球場で始まった。6球団競合のドラフト1位・大石達也投手(22=早大)は約30メートルのキャッチボールながら球筋の良さを披露。視察した渡辺久信監督(45)は「テークバックとかが大魔神に似てる」と、日米通算で381セーブを挙げた元横浜の佐々木主浩氏(42=日刊スポーツ評論家)にだぶらせ、大石も「佐々木さんのフォークを教わりたい」と熱望した。

 しなやかに腕を振る22歳が、日米を席巻した大投手とダブって見えた。大石は30メートルほどの距離を、軽く投げているだけだった。それでも、糸を引くようなボールが相手のグラブに収まる。「(肩の出来具合は)5割程度。いい感じなんで、この調子なら肩は問題ないと思います」と充実感からか、声が自然に弾んだ。

 それは例年通り初日から視察に訪れた渡辺監督も同じだった。「球筋がいい。キャッチボールを見ただけでもすぐ分かるよ。フォームもスムーズ」と満面の笑み。さらにつけ加えた。「テークバックとか大魔神に似てるよね」。フォークを武器に一時代を築いた日本球界最高のクローザー佐々木氏と、ルーキーを重ね合わせた。大石は「光栄です。でも初めて言われました。似てるんですかね?」と恐縮するばかりだった。

 プロでは先発に転向するものの、早大では抑えを務めた大石。直球とフォークで打者をねじ伏せてきたスタイルも佐々木氏と共通するが「(フォーム等を)意識したことはないですね。佐々木さんが現役の時は自分も小さかったので」と振り返る。それでも幼心に焼きついているボールがある。「フォークがすごいという印象があります」。自らも一番自信がある変化球に挙げるウイニングショット。だからこそさらに磨きをかけたい。「キャンプとかで機会があれば(投げ方などを)佐々木さんに聞いてみたい」と目を輝かせる。

 軸となる直球の球質は折り紙つきだ。この日キャッチボール相手だったドラフト2位の牧田は「ボールの伸びが違う。届かないと思って前に出ると、そこから落ちない。回転もキレイ」と話した。佐々木氏に教えを請うてフォークを進化させられれば、直球もより生きるようになり、先発転向の不安を軽減できる。まっさらなマウンドに立つ「所沢の大魔神」襲名を目指し、大石は本家との対面を心待ちにしている。【亀山泰宏】

 [2011年1月10日9時10分

 紙面から]ソーシャルブックマーク