楽天首脳陣が今季は田中将大投手(22)を基本的に中5日で先発させる方針を固めたことが24日、分かった。昨季までの田中は中6日での先発が主だったが、球団の悲願である初Vの原動力に指名された。年間通せば、初の30試合以上、200イニング以上の登板の可能性も出てくる。各チームとも先発6人を中6日で回すケースが多い中、馬力のある田中を軸に白星を積み上げていく考えだ。

 闘将のフル回転指令にも田中は動じなかった。時期やどういった形で伝えられたかは明言を避けたが、首脳陣の方針を受けて「去年は去年として、今年は今年です。覚悟をもって臨まないといけない」とギュッと口元を引き締めた。昨季はキャンプ前の自主トレ中に右足首を痛めた。開幕後もケガを患い、8月末に右大胸筋部分断裂を発症。そのままシーズンが終わってしまった。そんな不本意な1年の後だけに、首脳陣の期待を意気に感じないわけがない。

 中5日で先発を続ければ、単純計算でシーズン5試合は登板が増え、計30試合を超すこともあり得る。それだけ負担も増えるが、実力を高く評価され、期待されている証拠といえる。プロ入りから昨年まで4年間は、基本的に中6日。2年目の08年は割合的に中5日も多かったが、その年は自己最悪の9勝止まり。総イニング数も172回2/3と、途中離脱した昨季の次に少ない。過去中5日で先発した試合は、13試合で5勝3敗と勝ち越しているが、防御率は4・04といまひとつ。「覚悟」という言葉には、過去の不安なデータを乗り越える決意が込められている。

 準備も着々と進めている。今月10日から2週間、千葉の施設で片山、辛島らと自主トレを行った。この日、仙台に戻ると「全身筋肉痛になるくらいトレーニングしましたよ。だいぶ走りました」と笑顔を見せた。ブルペン投球はまだでも「キャンプに行く前には入ります」と焦りはない。Kスタ宮城の室内練習場でキャッチボールやウエートトレに汗を流しつつ、キャンプが始まる1週間後を見据えていた。

 エースと指揮官の言葉にも敏感に反応した。岩隈が田中、永井との3人で「40勝、貯金25」を掲げているが、「3人でそれぐらい勝つことが優勝につながる。15勝15敗じゃいけない」と応じた。また、星野監督が今季スローガンに「真っすぐ」を選んだことに「シンプルな言葉だと思いました。余計なことを考えずに目標に向かおうと思います」と自分なりに解釈する。自分自身の目標は「1年を通して投げること。それは変わりません」と強調した。中5日でも同じこと。期待と責任をパワーに変えて、与えられた役割を全うするつもりだ。【古川真弥】

 [2011年1月25日9時15分

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