日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が仮想トラブルを完封した。千葉・鎌ケ谷で行われている新人合同自主トレ第4クール最終日の26日、人間形成を目的とした講義で、「起こり得る危険とトラブルへの対処法」がテーマの寸劇風シミュレーションに“出演”した。女性を介した詐欺の美人局(つつもたせ)に絡まれた役を演じたが、教官も驚くほどの模範解答で切り抜けた。マウンド上同様、抜群の冷静さを見せた。またキャンプ(沖縄・名護)1軍スタートが正式に決まった。

 正式に1軍キャンプスタートが決まった斎藤佑が、トラブル対処でも抜きんでた実力を見せつけた。練習前に行われている恒例の講義。最終回となるこの日のテーマは「起こり得る危険とトラブルへの対処法」だった。

 飲み屋に誘われて高額な料金を請求される「ぼったくり」など、さまざまなトラブルを実際にシミュレーションしてみる寸劇仕立てで講義は進行。佐藤ファームマネジャーがカツラをかぶって女装するなど、かなりリアリティーを持たせた一幕だった。

 斎藤佑の登場は「美人局の巻」。街で女性に誘惑されて関係を持ってしまうと、後に金銭などを要求されるという詐欺だ。突然手元の電話が鳴ると、怖~い男の人の怒鳴り声が聞こえるという設定。

 「昨日、女性とそういう関係になったらしいな。あれ、オレの女なんだよ。どうするつもりだ!」。

 怖い男役を演じた勇翔寮教官の本村氏がはまり役?

 だったということもあって、新人選手がびびってしまうほど迫力は十分。ドラフト4位榎下はどう答えていいか分からず「お互い同意の上でのことだったので…」と、しどろもどろになってしまったが、斎藤佑はキッパリと言い切った。

 「弁護士の方と話して対応しますので」。

 新人離れした切り返しで緊急トラブルも完全シャットアウト。堂々とした対応で、周囲からは笑いと拍手が起こった。昨年まで高校教師をしていた本村教官は「よく社会を理解しているし、観点が違う。言葉選びも素晴らしい」と絶賛。榎下も「斎藤は冷静でした」と脱帽した。

 “主演男優賞”獲得後は、球場でキャッチボール、ノックなど軽めの調整を行った。ハーフパンツの下にイチローが着用することで有名なゼブラ柄のスパッツをはいて汗を流した斎藤佑は、今後出合う危険があるトラブルに関し「プロ野球選手ですし、周りにもそう見られているということをしっかりと理解して」と、“標的”となりやすい立場であることを認識し、注意していくことを誓った。

 新人研修も無事終了し、いよいよ1軍キャンプが近づく。「新しい世界に挑戦するので怖さはあるし、不安の方が大きいけど、いろいろ人に聞きながらやりたいなと思います」。今度はマウンドで、相手打者をシャットアウトする。【本間翼】

 [2011年1月27日8時51分

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