虎のナッチで~す!

 阪神の新外国人マルコス・ベキオナチ内野手(24)が27日、兵庫・西宮市の球団事務所で入団会見を行った。契約金600万円、年俸400万円の育成契約だが、ヤンキース時代はAロッドことアレックス・ロドリゲス内野手(35)の後継者といわれた期待株。愛称「ナッチ」を希望し、最強の育成選手として日本での第1歩を踏み出した。

 彫りの深い、精かんな顔つきからは想像しがたい、かわいらしいニックネームが誕生した。自らの愛称について聞かれたベキオナチが渋い声で答えた。

 「ナッチと言われていたね。ベッチョとか色々あるけど、覚えてもらえるなら何でもいい。(同じ阪神育成の)ザラテにはナッチと呼ばれているよ」。

 日本人にとっては最高レベルの覚えにくい名前が、一瞬でオジサンでも親しめる愛称に。たかが愛称とあなどれない。人気球団で自分を売るために、ファンや仲間に親しまれる呼び名があるのは大きい。

 元祖「なっち」は愛くるしい笑顔で男子のハートをわしづかみにし、モーニング娘。の初代メンバーにして全盛時にトップの人気を誇った。虎のナッチの笑顔もなかなかクールだが、こちらは野球選手。もちろん、かわいいキャラでは勝負するつもりはない。

 「ヤンキースで8年間頑張ってきたが、今回、日本で新しいチャンスを与えてくれた阪神に感謝したい。三塁や一塁が主だが、内野、外野どこでも守れる。本塁打や打点というところでもアピールできる」。

 16歳でヤンキースとプロ契約を結び、大スターのAロッドの後継者候補として期待された好素材。異国で育成契約からの再スタートにも前向きだ。中距離型のスイッチヒッターで守備力もある。ブラゼル、マートンがいるためすぐに1軍戦力とはいかないが、2人にアクシデントがあれば、すぐに取って代われる最高のバックアップ選手だ。

 「ベネズエラで(元巨人)アルフォンゾや(ソフトバンク)カブレラと話す機会があった。厳しい練習に耐えられれば、いい結果が出ると言われた。日本の球場やボールの違いなど色々と教えてもらったよ」。

 カブレラは自分と同じく来日時は無名ながら、通算346本塁打の最強助っ人にまで上り詰めた母国の“大御所”。日本で成功する秘けつを、携帯電話のホットラインで聞くこともできる。

 虎のナッチは、支配下登録に向け、1歩ずつ歩を進める。【柏原誠】

 [2011年1月28日10時59分

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