佑ちゃん、大フィーバーの中、88球の熱投!

 日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が5日、今キャンプ2度目のブルペンで最多の88球を投げた。初の週末で、駆けつけたファンは今キャンプ最多の1200人。斎藤を一目見ようと、ブルペンの周囲に何重もの人垣ができる物々しい雰囲気。そんな中、ペースを乱さず、終盤には「ウォリャ!」と声が漏れるほど投球は白熱した。13日の韓国・サムスンとの練習試合(沖縄・名護)での実戦デビューに向けて、また1段ギアを上げた。

 ブルペンで最後の1人になると斎藤の投球は一段と熱くなった。「ウォリャ!」。クールな男が叫ぶような声を上げて投げた。「シュッ」「シュッ」と息を吐くような音も自然と漏れる。声を出して投げることは「試合ではあります」と言うが、早大時代のブルペン投球ではそれほどなかった。「今日は暖かかったので投げました」。沖縄らしい快晴の中で、ファンの熱気にも押された。

 キャンプ初の週末。斎藤がブルペンへ向かうと本球場は、ガラガラになった。木に登ってまで一目見ようとするファンが出るほどの人垣が、すぐにできた。丁寧に足場をならしたダルビッシュから譲り受けたマウンド。自分を見失うことなく、投げ込んだ。捕手を立たせての8球を含めて、約20分間で計96球。1分間で約4・8球のペースで、小気味良く捕手のミットを鳴らした。途中からはセットポジションも試した。2度目のブルペンで今キャンプ自己最多の88球は圧巻のショーだった。

 「1日くらいはずっと(球数多めに)投げたいと思っていて、すごい気持ち良かったです」。高めに浮いたボールはわずか5球。変化球はスライダーに加え、ツーシーム、フォーク、カットボールを織り交ぜて計25球。投げた88球は偶然にも梨田昌孝監督(57)の背番号と同じだった。意図した球数ではなかったが「いいアピールができました」とちゃめっ気たっぷりに笑った。

 あまりの人の多さにブルペンの周囲に立ち入れなかった西武根本スコアラーは「姿も見ることができなかった。ミットの音だけは聞けた。回転がいいことだけは分かったね」と苦笑いした。

 7日にも投球練習を行い、10日にはフリー打撃に登板して打者と初めて対戦。13日にはサムスンとの練習試合で実戦登板が予定される。「より自分に厳しくしようと感じている。ちょっと甘い球があっても、よしとはできない」。佑ちゃんはたくましく、またステップアップした。【木下大輔】

 [2011年2月6日9時20分

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