熱血校長ならぬ熱血主将が、青空スクールを開校だ!

 ソフトバンク小久保裕紀内野手(39)が6日、ドラフト2位柳田悠岐外野手(22=広島経大)に、タイミングを取る大切さを説いた。開幕1軍を目指すルーキーをわざわざ呼び出し、通算399本塁打の小久保イズムをたたき込んだ。

 時間にすれば3分にも満たなかったが、プロで生き抜く極意が凝縮されていた。小久保の高い声が三塁側ベンチで響いた。メニューの合間に腰を下ろした主将の横をルーキー柳田が通り過ぎたときだった。

 小久保

 柳田君。ちょっと座りなさい。

 柳田

 はい。

 いきなりの声かけに柳田は、一瞬ビックリした表情を浮かべた。2位ルーキーは内心「ヤバっ。俺、何かやったかな」と思ったという。無理もない。小久保はチームの勝利のためには場所を選ばず、ナインに苦言を呈してきた。09年には大隣をマウンドで説教し、昨年小椋も選手ロッカーでしかりつけた。だが、恐る恐る小久保の隣に小さくなるように座った柳田へ送られたのは、金言だった。

 ベンチで異例の青空教室。2人だけの会話を、ともに振り返った。

 小久保

 柳田はいいものを持っているよ。飛ばす力があるし。あとはタイミングやな。この世界、タイミングが取れないと。

 柳田

 大事なのはタイミングの取り方なんだと教えてもらいました。プロは崩しにかかる、と。いろいろな球、変化球への対応が重要になるということも言っていただいた。

 自身の経験をもとに小久保はアドバイスを送った。プロ1年目の春季キャンプで、すり足や一本足などさまざまなスタイルにチャレンジ。左足を高く上げる打法にたどりつき、通算399本塁打の礎を築いた。1年目(94年)に開幕スタメン入りし、2年目(95年)に本塁打王。具体的なタイミングの取り方を指導することは、互いの感覚の違いを考慮して控えたが、開幕1軍を目指す柳田に助け舟を出した。

 新人ながら1発を秘める柳田の打力は、誰もが魅力を感じている。大きく右足を上げることもないが、鋭いスイングで注目を集めている。通算868本塁打の王球団会長が「楽しみな選手だね。(1年目から新人の活躍を楽しみにするのは)久しぶりだよ」と言えば、437アーチの秋山監督も「面白い。可能性がある」。飛ばす能力を認めたからこそ、小久保も青空スクールを開校したはず。有望ルーキーに、熱血主将の思いは届くか。【松井周治】

 [2011年2月7日10時51分

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