西武のドラフト1位ルーキー大石達也投手(22=早大)が11日、フリー打撃に初登板した。伸び盛りの原、黒瀬を相手に球威で詰まらせる場面が目立ち、ボールの伸びと制球力を印象づけた。偵察した横浜加古スコアラーは、大魔神の異名をとった佐々木主浩氏(本紙評論家)に似ているとたとえた。調整が順調なら、20日の紅白戦で菊池雄星投手(19)と先発対決するプランが浮上した。

 余力を感じさせる投球フォームからでも、ボールは生き生きとしていた。フリー打撃で大石は53球を投げ、安打性は8本。プロの打者との初対戦にも、気後れせず「力みはなかったけど、高めに抜けるボールもあったので(点数をつけるなら)70点くらい。大学の時は空振りをとれていたボールが全部当てられた。厳しいコースをうまく拾われて、プロは違うなと思いました」。力試しの成果を、頭と体にインプットした。

 対戦した2人の打球は、最初はファウルかポップフライばかり。「6、7割の力」で直球のみ。球種が分かっていても、シンに当てさせない伸びがあった。原は「メチャ回転がきれい。スピンが利いて、低めもたれない。特に高めを打つのは難しい。自分の思う軌道より浮いてくる感じで、バットがボールの下に入る」と修正に苦労した。黒瀬は「高低にバラつきがあったけど、外角のコースは外さなかった」と制球の安定感も評価した。

 他球団の偵察隊をうならせた。横浜加古スコアラーは「5、6割の力でも腕が遅れて出てくるから、タイミングがとりづらい。万全の状態では会いたくないね。腕の振りは佐々木に似ている」と日米通算381セーブを挙げた元横浜の大魔神にたとえた。楽天安田スコアラーは「体が疲れているのか全体的にボールは高かったけど、体重移動がうまくいったらすごいボールを投げそう」と話した。

 6球団競合のドラフトで引き当てた渡辺監督は打撃ケージ裏から見守った。「しっかりバランスを考えて投げていたし、外角の直球はキレもある。いい感じで気持ちよく投げられたんじゃないの」とホッとした様子。プロ相手の感触をつかみ、実戦の見通しも見えてきた。菊池とドラフト1位コンビの調整を合わせ、刺激している小野投手コーチは「2人を投げ合わせるのもおもしろい」と20日の紅白戦で先発対決させる可能性を示唆した。

 実戦デビューに向け、大石は「次は変化球も入れて、投球の精度を上げていきたい」と前を見据えた。見る者を引きつけた球の伸びと制球力は、まだ実力の一端を披露したにすぎない。【柴田猛夫】

 [2011年2月12日8時14分

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