西武涌井秀章投手(24)がメジャー流調整で、過酷な夏場を乗りきる。シート打撃に初登板した13日、新たな取り組みとして「調整をメジャー流にしてみます。向こうは投げた次の日も落とさないで、追い込むらしいので」と語った。登板翌日は疲労軽減のためノースロー、ジョギング、マッサージ程度で終わることが多かったが、逆転の発想でどんどん体を動かすことでスタミナ強化を狙う。

 理由は、体力勝負となる後半戦対策だ。渡辺久信監督(45)は「ここ数年、夏場がいい状態じゃない。どう克服していくか」と指摘。昨季が典型例だった。涌井は6月に両リーグ最速で10勝に到達したが、7月以降は4勝5敗。失速し、優勝目前でV逸した責任を感じていた。契約更改交渉でも「後半戦の成績がよくなかった」を理由に球団の査定が厳しく、調停問題にまで発展した。

 練習量が豊富な涌井の体力は球界トップクラスといわれるが、渡辺監督は「キャンプで蓄えたスタミナは6月で切れる。考えないといけない」と自身の経験と重ね合わせる。涌井も課題について「百も承知です。高校時代はずっと追い込んで練習していた。プロではやったことがないので、早いうちに試したい」とオープン戦から取り入れる。

 この日は若手中心の打者11人に対し、最速143キロで散発2安打。3月25日の開幕戦へ「順調です。ベストになるように上げていきます」と話したが、視線はもっと先にある。1年を通して高いレベルで投げ抜くことが使命。V奪回にも直結する。大一番で力を発揮するために、登板翌日も自分を追い込む。【柴田猛夫】

 [2011年2月14日8時14分

 紙面から]ソーシャルブックマーク