いけるで40発!

 阪神新井貴浩内野手(34)が15日、真弓明信監督(57)からシーズン40本塁打のノルマを課された。ランチ特打で116スイング中36本の柵越え。05年には43本塁打を放ち本塁打王にも輝いた長距離砲ぶりを発揮した。すでに「開幕4番」は決定。高いハードルを越え真の4番の称号を得る。

 統一球なんて関係ない。昼下がりの宜野座球場に快音がこだまする。4番が芯でとらえれば、打球は無条件でスタンドイン。圧巻は推定135メートル弾。腰をグイッと回転させジャストミートした。統一球に限りなく近い特打用のボールは、左翼ポール際へ。特大弾は左翼スタンド後方15メートル付近の防球ネットのふもとに着弾した。

 116スイングで36発。柵越え率約31%。主砲のアーチショーにファンがわいたのはもちろん。指揮官のボルテージまで一気に上がった。

 真弓監督

 (今年は)40本打ってほしい。1回、打った選手だからね。(本人に)50本打てと言って(40本)打ってくれたらいいけど。打ってないヤツには、言わん。

 05年に43本塁打で本塁打王に輝いた大砲は、今季4番を務める方針は固まっている。期待の大きさが、具体的な数字を言葉にさせた。阪神で日本人の右打者が40本塁打を記録したのは、75年に田淵幸一(現・楽天打撃コーチ)が43本を打ったのが最後だ。91年のラッキーゾーン撤廃後は、大台に達したものはいない。「聖域」へ踏み入れる可能性を感じさせるランチ特打だった。

 新井

 練習とはいえ、そういう風に監督に言われるのは、やっていることが間違っていないということ。これまでの特打と比べても、一番バランスよく振れたし、ばらつきもなくなってきた。1本でも多く打てればいい。

 昨季も金本の負傷以降、4番を務めた。チーム打撃に徹し、確実性を求め、自己ベストの打率3割1分1厘、112打点をたたき出した。だが、本塁打は19本にとどまった。

 和田打撃コーチも重ねて4番に1発を求めた。「球場の広さはあるけど、去年は新井にしては少なすぎる。(本塁打を)もう少し打ってほしいし、監督が40本と言うなら減らす理由はない。超すぐらいでいい」。その期待の裏で「芯を食う確率が高い。芯じゃないとあれだけの飛距離は出ない」と新井の打撃を分析した。

 新井

 期待してもらっているので、その期待に応えられるようにがんばるだけです。

 荒々しく振り切る-。長距離打者の本能を呼び起こしたとき、新井が真の4番打者になる。

 [2011年2月16日11時23分

 紙面から]ソーシャルブックマーク