<オープン戦:日本ハム9-8ロッテ>◇26日◇名護

 昨季日本一に輝いたロッテが、日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)の放つオーラに翻弄(ほんろう)された。ルーキーながら日本シリーズで優秀選手賞を獲得するなど、大舞台に強いはずの清田育宏外野手(25)は外角の直球に力んで一邪飛。細谷、金沢らの若手打撃陣も、斎藤の緻密なコントロールの前にもてあそばれた。竹原が意地の右翼線二塁打を放ったが、得点を奪えず、この日は引き立て役に回ってしまった。

 史上最大の下克上を成し遂げた強力打線が空回りした。先頭打者として対戦した清田は、2球目の外への直球を完全にとらえ損ねた。力ない打球で一邪飛に倒れ「いい気分で打席に入れたのに、力んでしまった。軽く振ったら打てていた」と反省した。前の打席で会心の本塁打を放っていただけに、余計に悔しかった。

 昨季の日本シリーズで、新人では長嶋茂雄氏以来となる初戦での本塁打を放った。シリーズ通算では新人最多タイ6打点を記録。優秀選手賞も受賞した。大斎藤フィーバーに沸く鎌ケ谷出身。気負いがあったかは本人のみが知るところだが、大舞台に強いはずの男が平常心を保てなかった。試合後は照れくさそうに「緊張しました」と頭をかいた。

 1死二、三塁の絶好機で打席に立った細谷は「最悪でしたね」と天を仰いだ。初球のカーブに手を出し、中途半端なスイングで三塁ゴロに倒れた。斎藤が全球直球勝負を公言する新聞記事を見た。直球を待っていたが、高めに浮いた変化球に思わず手が出た。「タイミングは外れていたけど、芯でとらえていた。あのまま振っていれば違っていたかも…。新聞を信じていたのに…」とぼやいたが、後の祭りだった。続く金沢も「ミスショットではなく、力んでしまった」と外角の直球を打ち上げた。

 攻略のお手本を見せた中堅勢も、斎藤のポテンシャルを評価した。最多の9球を投げさせ、ファウルで粘って四球を選んだ大松は「アウトコースのラインを外していない。普通は内に入ってきたりするのだけど、間違いがない」と安定した制球力に感心。斎藤から対外試合初安打(右翼線二塁打)を放った竹原は「打ったらテレビに映ると思った」とおどけながらも、「真っすぐでもいろいろと動く。カット気味で沈む球もある」と指摘した。

 対戦した5人が一様に指摘したのは低めに集まる制球力。強力打線を育てた金森打撃コーチも、早大の後輩の快投に「ああやって低めに投げてこられると、こちらも困る」と頭の痛そうな様子だった。【鈴木良一】

 [2011年2月27日7時41分

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