<オープン戦:広島11-1中日>◇3日◇福山

 地元の星が開幕6番に当確ランプをともした。広島岩本貴裕外野手(24)が、中日とのオープン戦で2ラン含む3安打6打点と大活躍した。前日の同カード(マツダ)で4打数無安打に終わったが、1日で切り替え、11-1の大勝に導いた。首脳陣の期待に応えた岩本が、今年の赤ヘル打線を支える。

 これが答えだ。5回1死二塁。カウント1ボール1ストライクからの3球目。岩本は中日2番手小笠原の投げたインコースの甘い球を迷わず振り抜いた。両翼90メートルの球場で、打球は右翼席中段に消えた。「ここ数試合、思い切りがなかった。開き直って行きました」。オープン戦1号にも派手なガッツポーズはない。両手に残る感触を確かめながらベースを一周した。

 雪の舞う福山市民が「岩本球場」と化した。幕開けは2打席目。3回2死満塁で中日先発川井の初球を逃さず、走者一掃の左越え3点二塁打を放った。5回に2ラン、6回1死二、三塁でも2ボール1ストライクからの4球目をとらえる中前適時打で3安打6打点と大暴れ。「昨日が中途半端だったので…」。前日の4打数無安打に終わった悔しさを払い去った。

 地元の星が成長した。広島商から亜大を経て08年ドラフト1位で入団し、今年は勝負の3年目だ。だが、この日までオープン戦は16打数3安打、打率は1割8分8厘…。それでも首脳陣の信頼は変わらなかった。試合前練習で野村監督、浅井打撃コーチから指導を受けると、その後は右翼フェンス付近で1人黙々とバットを振った。一発回答の岩本の活躍に「前に進むしかない。期待している選手なので良かった」と、指揮官も目を細めた。

 昨年は14本塁打と大器の片りんを見せた。指揮官は明言を避けるが、開幕6番も現実味を帯びてきた。現在の打線の中軸は、右の栗原、左のトレーシー、右の広瀬で組んでおり、ジグザグ打線を理想とする野村監督の構想からすれば6番には左の岩本がはまる。それでも「どんどんアピールしなければならない立場ですから」と岩本。地元の星が飛躍のシーズンを迎える。【佐藤貴洋】