<オープン戦:オリックス2-1楽天>◇10日◇京セラドーム大阪

 星野監督が期待する好男子が、開幕ローテーション入りに王手をかけた。先発した楽天戸村健次投手(23)が、7回を内野安打2本で無失点に封じた。球威のある直球と縦割れスライダーで、T-岡田、李承■ら強力な中軸を無安打。昨季9勝15敗と苦戦した相手をもてあそんだ。09年ドラフト1位右腕にブレークの予感が漂ってきた。

 粘土の上に薄く土を敷いた京セラドームのマウンドは適度に硬く、小さなトルネードから踏み出していく戸村の左足を受け止めるには申し分なかった。左膝が流れることなく、アゴを引いたまま思い切り上体をかぶせた。「腕がよく振れました」。繰り返したこの言葉が、2年目右腕の投球フォームが固まり、本格化しつつある現状を端的に表現していた。

 1歳年下のT-岡田に対し力勝負を挑み、パ・リーグ屈指の強打者に対する今季の攻略ヒントを自軍にも与えた。ノーステップ打法は緩急で崩せると錯覚しがちだが、背番号55の強靱(きょうじん)な下半身は動いてくれない。2回の第1打席はオール変化球で四球。反応を確認し、星野監督から「構わず腕を振っていけ!」と背中を押された。

 「適度に真っすぐは荒れていたがしっかり腕を振れば大丈夫」といい開き直りだった。7回の第3打席。1ボール2ストライクから選択した勝負球は、グリップ近くへの141キロ直球だった。沈んだ重心が一瞬浮き、窮屈そうにバットを出した一ゴロ。力に対抗するのは技でなく力という結論を導いた。カウント球としての初球スライダーが大きく割れ、低く制球する相乗効果も生んでいた。

 クリクリの目にツヤツヤの肌。8頭身。およそ勝負の世界に身を置くとは思えない青年だが、囲み取材を受ける顔には無精ひげがあった。「チャンスだと思った。シーズン中と同じつもりで試合に入った」。前日から集中を高め、ギラついた勝負師の顔でアップの先頭を走り、最高の結果を出した。「若い選手の成長を見届けるのは楽しい」が口癖の星野監督は、開口一番「今日の収穫は戸村だけだった。7回を無失点でいったピッチャーはいない。当然、候補だ」。新生楽天船出のスターターへ。戸村が8合目だ。【宮下敬至】※■は火へんに華