阪神金本知憲外野手(42)が12日、復帰打席に立った。東日本大震災の影響でオープン戦が中止となり、代わりに行われた中日との実戦形式の合同練習(甲子園)に6番DHで先発。二直、三振の2打数無安打だった。大学時代を過ごした仙台の状況に心を痛めつつ、開幕への階段を上がった。

 昨年10月16日のクライマックスシリーズ巨人戦から147日ぶり。右肩棘(きょく)上筋断裂から復帰を目指す鉄人の帰還は、静寂に包まれていた。

 今季初打席。0-1の2回無死一塁。ネルソンの初球、148キロ直球をスイングした。シーズン中は初球をほぼ見逃し、球筋を見極める傾向がある。二直に倒れたが、打っていく気迫がにじんだ。

 金本

 連絡をとったヤツもいるし、つかないヤツもいる。知り合いとか友達もいる。心配や。(ゲームを)やっていいんかな。

 前日11日に発生した東日本大震災。東北福祉大時代を過ごした仙台も被害に見舞われた。懐かしい町が変わってしまった姿に、心を痛めた。第2の故郷を思う気持ちは人一倍強いが、グラウンドに立てば、プロ野球選手ができることはプレーする以外になかった。

 5回先頭の2打席目もフルスイングだった。1ストライクからネルソンの153キロ直球を空振り。続く137キロの内角フォークも空振り。3球三振だったが、右肩痛を感じさせない豪快なスイングだった。2打席、全4球中3球で、金本はバットを振った。出番を終えると室内練習場に直行して約30分間、打撃練習を敢行。悲しみを胸に抱いたまま、今は自分ができることに全力を尽くす。