<オープン戦:日本ハム3-12阪神>◇21日◇札幌ドーム

 日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が、プロの洗礼を浴びた。オープン戦の阪神戦でプロ初先発し、3回79球を投げて13安打9失点。生命線のコントロールに苦しみ、3回は1イニングで8失点するなど精彩を欠いた。実戦で続けてきた無失点は猛虎打線に止められ、プロ初黒星を喫した。

 斎藤にとっては、ほろ苦い本拠地初先発のマウンドとなった。直球も変化球も思うように制球できなかった。3回は1イニングで8失点。「打たれてから、打たれたくないという気持ちが、余計働いてしまった」。力んでコントロールに苦しんだ。外角、内角とコースを狙ったはずのボールが、吸い込まれるように中に入った。猛虎打線が甘い球を見逃してくれるはずがない。ことごとく痛打され、いつも沈着冷静な斎藤が動揺していた。

 ただ、KOされたことが、収穫なのかもしれない。これまで練習試合、オープン戦を含めて4試合に登板し、7イニング無失点。周囲の期待は膨らんだが、斎藤の脳裏は違った。「ずっと打たれないで(開幕まで)来るのは、何となく怖い感じがあったので…」。2月の初実戦を迎えるまでは「打たれておきたい」と話していたが、結果的に抑え続けてきた。プロのレベルを体感できたことで、足りない部分がはっきり見えた。

 「(コースが)少し甘くなっても、差し込めるような強いボールを投げないと。強さを増さないとダメだなと感じました」。2回と3回に怒とうの連打を浴び、投げるボール自体にも困っていた。真っすぐも、変化球も全体的に制球も、キレもよくなかった。厳しい状況の中で抑えるには…。降板後に見えてきた課題のひとつだった。

 試合前には前日20日に続き、東日本大震災の募金活動に参加。登板間隔も中14日と空き、復興チャリティー試合という独特のマウンドにも「調整はしっかりしてきたつもりなので」と言い訳はしなかった。梨田監督は「調整が飛んで飛んでというので、難しかったのだろう。もう1、2回は先発させる。低めのツーシームと左(打者)のアウトコースのストレートに磨きをかけてほしい」と次戦へ向けた注文も忘れなかった。初めて実体験したプロの壁。開幕までには乗り越えられるチャンスは、まだ残っている。【木下大輔】