<ウエスタン・リーグ:阪神3-1オリックス>◇27日◇鳴尾浜

 鬼門突破の先陣はお任せ-。阪神久保康友投手(30)がウエスタン・リーグ、オリックス戦(鳴尾浜)で先発し5回4安打1失点と貫禄の投球を見せた。最速は145キロをマーク。開幕2カード目、4月15日の中日戦(ナゴヤドーム)での登板が濃厚。チームが苦手とする竜の本拠を意識し「名古屋でリベンジしたい」と予告していた右腕が、本番へ気持ちを高めた。

 躍動感が戻った。2軍戦ながら入場制限がかかった鳴尾浜球場。ファンがため息をついてしまうほどの投球だった。マウンドで跳ね上がるようなフォームから、久保は最速145キロを繰り出した。これまで130キロ台後半だった直球にも威力が増し、充実感を漂わせた。

 「真っすぐがいい感じだった。久々に強いボールが投げられた」

 2回2死満塁で、1番深江に低めのスライダーで内野ゴロを打たせたが、投内連係がかみ合わず得点を許した。2回までに要した球数は47で被安打も4。だが、実戦で16イニング続けてきた無失点が途切れると、スイッチが入った。3回からの3イニングで41球、無安打で締めた。

 「2軍選手だからとかではなく、相手と対峙(たいじ)したときに特徴を把握する。僕はデータがないのは嫌いなので、基本は一番ホームランを打たれにくい、外角低めにコントロールを意識して投げた。それができたのは良かった」

 登板が予定される開幕2カード目、4月15日中日戦(ナゴヤドーム)に向けても、いいリハーサルとなった。2月15日の契約更改の席では、力強く「竜倒」を宣言。チームは昨季、ナゴヤドームで2勝10敗。1ゲーム差でリーグ優勝を逃した、大きな要因となっただけに右腕は意気込む。

 チームトップの14勝を挙げた久保は、苦手意識を持っていない。中日戦に3試合に登板し、1勝1敗で防御率は2・49。「鬼門」ナゴヤドームでも、2試合で0勝1敗ながら防御率は2・57。勝ち星には恵まれなかったが、先発としての仕事は全うした。

 「ある程度のイメージはあるけど、新たにしていく。決めつけだけは良くないので」

 開幕が約3週間延び、時間の分だけ確認事項も尽きない。「1回か2回は体を追い込まないといけない」。仕上げた体に、もう1度ムチを入れる。次回は4月2日、横浜との慈善試合(横浜)での登板が見込まれる。仕切り直して、大黒柱が鬼門へ殴り込む。【鎌田真一郎】