右手首の骨折で離脱していた日本ハム小谷野栄一内野手(30)が29日、札幌ドームでのオリックスとの練習試合で、4番三塁で戦列に復帰した。いきなり2安打を放って回復をアピール。「ハーフスイングのときに少し痛みはあったけど、嫌な感じではなかったです。ここから継続してやっていくだけ」。来月12日の開幕戦(対西武、札幌ドーム)までは2週間。スタートラインにつけるメドが立った。

 1回の第1打席から、恐怖心を打ち消してフルスイングした。「もう折れているので、これ以上折れることはないから。振ってどれくらい痛みが出るのかを見たかった」。いつも全力プレーを心掛ける、故障前と変わらない姿があった。2打席目に中前打を放つと、6回の第4打席もオリックス木佐貫の140キロ直球を右前に運んだ。

 2軍調整中は、東日本大震災の影響も受けた。ガソリンが不足して移動手段がなく、食事にも困って都内の自宅暮らしを断念。若手選手とともに千葉・鎌ケ谷の寮で寝泊まりした。「節電の地域にも入っていましたし、大変な思いをしてやっていました。でも被災地の方に比べれば…」。ケガと不便な生活の“二重苦”にも、弱音を吐かずに耐えてきた。

 1番に戻った田中とともに、打線の厚みは一気に増した。梨田監督は「小谷野は実戦勘も戻っている感じ。守備も含めて問題ない」。開幕ダッシュへ向けて、大事な1ピースが戻った。【本間翼】