開幕ローテは渡さん!

 阪神下柳剛投手(42)が6日、巨人との練習試合(相模原)に先発し、5回5安打1失点に抑えた。前日5日にドラフト1位の榎田大樹投手(24=東京ガス)が好投したことで、開幕ローテから押し出される可能性も浮上していたが、円熟の投球術で回避。21年目も、先発として迎える。

 結果で示した。下柳は追い込まれても、黙々と投げた。最大のピンチは4回だった。1点を失い、なお1死満塁で代打谷。初球の外角低めスライダーを、芯でとらえられた。だが、ライナーが三塁手新井の正面を突いた。続く坂本を、外角低めの直球で泳がせ遊ゴロ。5回5安打3四球ながら、耐えて、耐えて1失点に抑えた。これぞ、ベテラン左腕の真骨頂だった。

 下柳

 まだまだです。修正点もまだあります。

 終盤は変化球が指にひっかかりすぎ、ワンバウンドや逆球となるシーンもあった。ただ、2回以外は走者を背負いながら、あと1本を許さなかった。この日の、投球数は70球。そのうち、空振りはわずか2度。間合いや、変化球の曲がりに変化を付け、決定打を許さなかった。

 久保投手コーチ

 前回より全開でした。順調だと思います。持ち味を出せていました。球にもキレがありました。

 前回登板となった3月30日の練習試合・中日戦では5回8安打4失点の乱調だった。これまで対外試合3試合に登板し、防御率4・91。前日5日にはルーキーの榎田が巨人相手に6者連続三振を奪うなど3回完全投球。この日の、結果次第では、開幕ローテから押し出される可能性もあったが、熟練の投球で居場所を守った。

 追う立場だったころを思い出していた。グラウンドに入ると、すぐに巨人田畑一也スコアラー(42)の姿が目に入った。ダイエー(現ソフトバンク)時代に、ともに若手として切磋琢磨(せっさたくま)した間柄。「懐かしいなあ!」と声を漏らした。相模原球場は、日本ハムが92年から5年間公式戦を開催した思い出の球場でもあった。当時も自分の働き場所を確保しようと必死だった。生き残りをかける思いは何年たっても変わらない。

 次回登板は開幕2カード目の17日中日戦(ナゴヤドーム)。8年連続で開幕ローテに名を連ねる左腕の、21度目のシーズンが幕を開ける。【鎌田真一郎】