楽天は8日、4班に分かれ宮城県内各地を訪問した。3月11日に発生した東日本大震災の影響を受け、避難所生活を行っている東北の人々を励まして回った。大震災以来初めて本拠地仙台に戻った7日深夜に、最大震度6強の余震を経験したが、予定通りスケジュールを守った。

 「チーム山崎」のイキな計らいだった。大津波で大きな災害を受けた、宮城・名取市閖上地区をマイクロバスで訪れた山崎武司内野手(42)らのグループは、避難所の下増田小学校から手を振る子どもに気がついた。同避難所を訪問する予定はなく、最初は窓越しに手を振って応じていたが、やがてバスの扉が開いた。

 「どうせなら手を振るだけじゃなく、降りていけばいいってことになったんで」と山崎。学校を囲う柵越しに、子どもたちとの握手の列ができた。直後には名取市役所を訪問する予定だったが「市長にちょっと待ってもらおう」という山崎の言葉をきっかけに、一行は敷地に入っていった。

 あまりに突然の訪問に、避難所は逆にシンと静まりかえった。だが事態を把握した子どもたちの歓声を合図に、一気に沸き返った。「いぎででよかっだ」。特に涙を流し喜んだのは、山崎が真っ先に声をかけたおばあさんだった。

 前日7日深夜の大地震で、近所の3階建ての避難所が危険になり、移ってきたばかり。高齢で歩くのも難しく、家族には移動をあきらめたいと伝えたという。「でも何とか頑張って歩いてきた。そしたら今日、あの選手の方々に会うごとがでぎだ」。うなずく笑顔に、また一筋涙が光った。

 この話を伝え聞いた松井稼頭央内野手(35)は「昨日の地震も怖かったでしょうね。それなのに『頑張って』って逆に励まされるんですよ。ああ、地元孝行したいですね」とつぶやいた。山崎は「被災者の方々に接して、自分が何のために野球をしなければならないかが分かった。今年は何があってもあきらめない」と決意のコメントで、被災地慰問の1日を締めた。