<楽天2-1オリックス>◇16日◇甲子園
打った瞬間に観客の興味は「どこまで飛ぶ」に変わった。楽天外野手は1歩も動かない。オリックスのT-岡田も、振り切ったバットを両手で握ったまま打球の行方を“鑑賞”した。右翼席上段寄りに飛び込む、130メートルのロングドライブに「ウォーッ」と敵味方の声で甲子園が揺れた。
「完璧でした。4番が打たないと勝てないのでこれを続けていきたい」。1点差に迫る、追撃の2号ソロは先頭で迎えた7回に飛び出した。永井の1ボールから2球目、真ん中高めをたたいた。
「やや内、甘めですかね。高めでしたが、うまくたたけた。終盤なんで投手もスピードが落ちていたんじゃないですか」。落ち着いた口ぶりで、堂々と振り返った。14日ソフトバンク戦での今季1号も、京セラドーム大阪のバックスクリーンに打ち込んだ。今年から使用される低反発球の影響はないのだろうか。
「完璧にとらえると変わりませんね。少し打ち損じた時、こすった時はなかなか(本塁打は)いきませんね。去年より確実性が必要になりますね」。体のブレを少なくし、確実性を増すために昨年5月から本格導入したノーステップ打法。下半身の力が伝えにくいとされるが、T-岡田はものにし、一気に33発でタイトルをつかんだ。今季開幕前は一時スランプにはまったが、「左手や右膝の使い方、構えた時のトップの角度とかが良くなかった」と、昨年の好調時の安打を収めた映像を見直し、すぐさま修正できた。
確実性のある打撃は開幕5試合連続安打が物語る。通算20打数8安打5打点、打率4割を保っている。「完璧に打つ可能性を高めることを常に意識して練習に取り組んでいて、それを試合で生かしたい」。
「浪速のゴジラ」と呼ばれた大阪・履正社高では甲子園出場はなし。プロ6年目。聖地で放った1軍初アーチは自らの記憶にも残ったはずだ。【押谷謙爾】



