<中日1-1阪神>◇16日◇ナゴヤドーム
阪神が、中日との歴史的な総力戦を引き分けた。1-1で延長戦に突入。3時間30分の引き分け打ち切り寸前の10回を藤川球児投手(30)が抑え、11回も3投手が必死の継投。両チーム17投手が登板したのは、07年10月の中日-広島戦以来、プロ野球2度目だった。チーム防御率1・91はセ・トップ。今年の虎投はひと味違います。
渡辺が投じた運命のラストボールに、みんなが身を乗り出した。同点の延長11回2死満塁、カウント3ボール2ストライク。外れればサヨナラ負けだ。
渡辺
言葉は悪いけど、俺の出したランナーじゃない。四球もヒットも一緒と開き直っていきました。
「1人1殺」を期待された福原と小嶋が塁を埋めてた土壇場の登板。こん身スライダーを外角低めに決めた。荒木は二塁ゴロ。ベンチには勝った時と同じような歓喜が広がった。4時間02分。虎が総力ドローで横浜と並ぶ首位に立った。
藤川
危なかった。負けたら(10回に時間を稼がなかった)自分のせいになるんで…。
ナインの中で守護神藤川は特別な思いを抱いていた。10回からの登板。その時、時計の針は午後9時20分だった。東日本大震災による節電対策で、今季は3時間30分を超えて延長は新しいイニングに入らない。ゆっくり時間をかけるか、走者を出せば、残り10分を超え、このまま引き分ける。
藤川
投球練習の時間はしっかり使おうと思ったけど…。(リミットは)考えたけど遅延行為はできないから。
10回で終了し、鬼門ナゴヤドームで1勝1分け発進は悪くない。だがそんな邪念は、マウンドで打者と向き合った瞬間に吹き飛んでいた。アドレナリン全開の最速150キロ。先頭井端は真っすぐで押しまくってフォークで空振り三振にきると、森野は中飛、和田は三ゴロ。わずか12球、5分間。この瞬間、数分を残して11回突入が決まった。
真弓監督
時間調整とかでけへん。流れやから。3人で抑えてくれたらそれでいい。
それは監督の願い通りの投球だった。鬼門でも守りに入らず、勝ちに行く。11回表は無得点に終わったが、榎田、久保田、小林宏、渡辺らみんなで0のバトンをつなぎ、負けなかった。初めて立ちはだかった3時間30分の時間の壁。だが救援陣がブ厚い今季は、普段通りの阪神野球を貫けば道は開けると再確認できた。
藤川
(今年は)リリーフ全員で勝負できる。強いよね。
真弓監督
こうやって同点で延長という試合では球際に強くならないとね。去年からの課題。今年はこういう試合が多そうだから、慣れてくるんじゃないか。
8継投の阪神で残っていた投手は能見だけ。中日はベンチ入り9人全員を使い切った。昨年まで何度も競り負けた中日に、お株を奪う球際の強さを見せつけた。前日の1点差勝ちに続くハイタッチの列。勝ちに等しい執念ドローだった。【松井清員】




