<楽天1-4オリックス>◇17日◇甲子園
両手を顔の前で組んで祈っていたオリックス西勇輝投手(20)が両腕を上げてバンザイした。平野-岸田の鉄壁リレーが、プロ3年目で2度目の先発機会で初のウイニングボールを運んできてくれた。「やっぱりうれしい。アッという間でした。人生で一番楽しかったです」。西の「ゆうき」は、充実感あふれる表情で話した。
マウンドでは最後まで笑顔を絶やさなかったが、登板前、爪割れ防止のテープを切ろうとしたらハサミを持つ手がブルブルと震えていた。「めっちゃ緊張しました」。関西の球団らしく、ロッカー室のテレビで吉本興業のお笑い番組で気を落ち着け、飛び出した。
初回に犠飛で1失点後は完璧。140キロ中盤のキレある直球以上にスライダーが光った。松井稼はじめ6人並んだ左打者の内角に食い込ませ、詰まらせた。2回以降、外野への打球はわずか2個。7回散発3安打1失点、8三振を奪った。直後の8回、打線が4点の援護をくれた。
チームの3連敗を止める快投に岡田監督は胸を張ってうなずいた。「西はずっとええよ。貯金があったら楽に投げさせたが、逆にプレッシャーの方が大きかったな。西もやし、チームにも大きな勝ちよ」。木佐貫、朴賛浩に続き、3番目にプロ未勝利、20歳の開幕ローテーション入りを決断。その目に狂いはなかった。
春季キャンプ直前、三重県の実家で飼うミニチュアシュナイザーの愛犬キララがイノシシよけの餌を食べて急死。高校1年から家族の仲間で、やんちゃな西の心を癒やしてくれた小さな“応援団”だった。「へこんでいられない」。実家近くの椿大神社(鈴鹿市)で授かった「幸」の文字をグラブに刺しゅうし、幸せを振りまこうと腕を振る。「1勝したので流れに乗って、2ケタいけるように頑張りたい」。可能性のかたまりが大きな1歩を刻んだ。【押谷謙爾】
◆西勇輝(にし・ゆうき)1990年(平2)11月10日、三重県生まれ。菰野高では3年夏に甲子園出場。1回戦で仙台育英(宮城)に1-4で敗れた。08年ドラフト3位で入団。昨年まで1軍通算21試合で0勝0敗、防御率3・03。プロ初先発の昨年8月12日ソフトバンク戦は勝ち投手の権利まであとアウト1個から5失点と、苦い経験をした。180センチ、80キロ。右投げ右打ち。推定年俸1300万円。



