<日本ハム8-4ロッテ>◇17日◇札幌ドーム

 頼れる先輩たちが、初舞台に上がった日本ハム斎藤の背中を、優しく、力強く後押しした。今季最多となる毎回の12安打で8得点。1回に奪われた先制点など、あっという間に取り返した。梨田昌孝監督(57)は「(斎藤も)有り余るほどの勇気をもらったと思う。何か1つになったような気がした」。3万7000人を超えるスタンド、ベンチ、ナインが一体となって、“特別なゲーム”をものにした。

 最大の援護射撃はマイカ・ホフパワー内野手(31)の一撃だ。2点を追う1回。3つの四球で2死満塁と自滅していた、ロッテ大嶺の初球ストレートを狙い打ち。乾いた打球音は大歓声にかき消され、右翼スタンド中段へ飛び込んだ。「グレートな気分?

 ノー!

 それ以上だ。アグレッシブにいこうと思った」。早くも3本目のアーチ。6回の守備ではサブローのフライをダイビングキャッチし、攻守でルーキーをもり立てた。

 来日2カ月半。すっかりチームに溶け込んだ。初めてのキャンプを終えて札幌に戻った3月、ホフパワーはケッペル、ウルフとともに佐藤通訳を部屋に呼んだ。日頃から失敗して注意されることが多かった同通訳は、「目を閉じろ」の声に“きついおしかり”を覚悟してヒヤヒヤしたというが、目を開けると視界には新品のパソコンが飛び込んできた。「いつも、ありがとう」。助っ人3人は、自分たちが使うMacのパソコンを同通訳がうらやましがっていたのを知っており、感謝の気持ちを込めてプレゼントしたのだ。異国の地で戦う心細さはあっても、チームメートやスタッフを思う気持ちは人一倍強い。

 打線の爆発と注目ルーキーの奮闘で、今季初のカード勝ち越しを決めた。梨田監督は「こうやって押したり引いたりしてやっていけばいい」。一喜一憂することなく先を見据えたが、“押せ押せ”で巻き返せそうな余韻に浸れる、格別の勝利だった。【本間翼】