<中日1-0阪神>◇17日◇ナゴヤドーム
静かな男が、闘志をあらわにした。ブラゼルのグラブに打球が収まると、阪神下柳剛投手(42)は両手をポンとたたいた。マウンドを降りながら、さらにもう1度、左手でグラブをたたいた。7回を無失点で切り抜け、珍しく感情をむき出しにした。
下柳が今季初登板で「鬼門」ナゴヤドームのスコアボードに、7つの「0」を並べた。6安打され3四球で走者を背負いながらも最後は譲らない。熟練の技で要所を締め竜打線を手玉に取った。真弓監督は「いいピッチング」と賛辞を惜しまなかった。山口投手コーチも「元気というところを見せてくれた」と目を細めた。
最大のピンチは7回。大島、谷繁に連打され1死一、三塁。代打福田を空振り三振に切った。続く荒木への3ボールからの4球目。内角121キロスライダーがわずかに外れた。思わず天を仰いだ。だが、すぐに笑みを浮かべた。井端を2ストライクから内角低め119キロフォークで一邪飛に仕留め、先発の仕事を全うした。
下柳
何とかしたかった。1試合1試合ですね。
淡々と振り返った。好投に満足することなく、むしろ打席でのミスを反省した。
下柳
バントでリズムを崩しちゃったから申し訳ないことをした。
5回1死一、二塁でバントを試みたが失敗。6回以降、チームは無安打。3者凡退を繰り返し、延長戦の末サヨナラ負けした。最大のチャンスで最低限の仕事を果たせなかったことを、何よりも悔いた。
5月16日に43歳。43歳シーズンでの登板は史上7人目。まだまだ衰えるところを知らない。今季は中日山本昌が08年に記録して以来、史上2人目となる43歳2ケタ勝利を狙う。21年目の虎の鉄腕伝説が幕を開ける。【岡本亜貴子】



